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カフェココマ萌えて貰えたみたいで嬉しい(*´ω`*)カフェココマは早くくっつけよというこのじれったさよ…
亀の歩みじゃないか…!と、思いながらも見守って頂けると嬉しいです。
ジャージはココさんが暴走しそう。
続きはタイトル未定ですが、暫定で仔狸話。
仔狸小松君のお話。
カフェココマ萌えて貰えたみたいで嬉しい(*´ω`*)カフェココマは早くくっつけよというこのじれったさよ…
亀の歩みじゃないか…!と、思いながらも見守って頂けると嬉しいです。
ジャージはココさんが暴走しそう。
続きはタイトル未定ですが、暫定で仔狸話。
仔狸小松君のお話。
ふと気配に顔をあげる。布団の中がもぞもぞと動いていた。どうやら目を覚ましたらしい。
僕は足音を消さず、ゆっくりと近付く。突然現れてびっくりさせてしまうのも可哀想だったからだ。
「大丈夫かい?」
優しく、囁くように。僕はその小さな存在に近付く。気配に気付いてか、びくりとした仔狸は布団の中へと引っ込んでしまった。
僕は布団を覗き込む。布団の中に引っ込んだその様はまるで亀みたいだった。そんなことは億尾にも出さず、僕は試しに布団の中に篭城している仔狸に優しく声を掛けみる。
「具合はどう? 怪我は痛むかい?」
怖くないよとアピールをして、その布団の中の暗がりを見つめる。二つの大きな目は、怯えの色を強く滲ませて僕を見つめていた。
「……君に危害を加えるつもりはないのだけど」
僕は布団から僅かに離れて、あらかじめ用意しておいた食事を見せる。ぴくりとその丸い耳が動くのが見えた。
「お腹、空いてない?」
じっと二つの目は僕の手元を見ている。次に僕を見て、また手元を見た。疑うようなその眼差しに、僕はそっと食事を置いて離れた。見知らぬ人を警戒するのは、仕方がないことなのかもしれなかった。
「あ! こら、キッス!」
いつの間にか僕の傍らに降りていたキッスが、僕の静止も聞かずにひょこひょこと跳ねながら布団の中へと潜り込んでいく。
中から「くるる」と柔らかな声が聞こえると同時に、仔狸が威嚇する声まで聞こえてくる。
はらはらと見守っていると、そんな僕の心配を余所に威嚇する声が次第に小さくなっていった。キッスの宥めるような声音は、相変わらず布団の中からくぐもって聞こえてきていた。
やがて、キッスに追い立てられるように中からのそりと仔狸が出てきた。きょろりと辺りを見回した仔狸は、僕を見つけると途端に緊張したような面持ちになる。
キッスは仔狸の後に布団から出てくると、その嘴で今度は僕が用意した食事を勧め始めた。
ちらりと僕と、食事と、キッスを仔狸は暫く何か考え事でもするように眺め、やがて空腹に耐えかねたのか、恐る恐る食事に手を伸ばし始める。
満足気にそれを見守っていたキッスが、僕を見つめてどこか誇らしげに鳴いた。
「……凄いじゃないか、キッス」
キッスはどこか自慢気だ。苦笑を浮かべた僕は、もぐもぐと食事を夢中になって咀嚼している仔狸を見る。思っていたよりも大分元気そうな上に、食欲も大分あるようだ。パン一個程度では、足りないかもしれない。
仔狸はまるで母親のように傍らにいるキッスにもパンを差し出す。キッスは頭をその手に押し付けるようにして、それを断ったようだ。
小首を傾げた仔狸はキッスの意図に気付いたのか、再びパンに齧りつく。なんだか微笑ましい光景に、思わず口元に笑みが浮かべてしまっていた。こんな風に自然と笑うのも、なんだか随分と久しいような気がする。
「……簡素な食事でごめんね。君を一人にするのもちょっと心配で、買い物に行けなくてね。あとでもうちょっと栄養のあるものでも、買ってくるから」
あと洋服もだろうか。僕のシャツを着せてはいるけど、あまりの体躯差にどうにも心許なさ過ぎる。
仔狸は僕の言葉に耳をぴくりとそばだてると、口元をもぐもぐと動かしたまま僕をじっと見つめてきた。
布団の上でふわふわとした尻尾が揺れ動く。僕を見つめていた仔狸は、パンを食べる手を止めてじっと僕を見つめている。
「……どうかした?」
よたよたとした足取りで、本当に恐る恐る僕との距離を測りながら仔狸は僕に近付いてくる。小さな手でパンを千切ると、キッスにそうしたように僕にそれを差し出す。
とっても心の優しい仔なんだろうことがよくわかるそんな気遣い。僕は首を振った。
「全部君が食べていいよ。別に食料がないわけじゃないから」
僕の言葉を気にしてくれたのかもしれない。苦笑を浮かべて言えば、首をまた傾げた仔狸はぺたんとそこに座った。 僕をじっと見つめながらパンを食べる仔狸が、そのパンを丸々食べ終えてしまうのを待った。僕はじっと仔狸を見つめる。仔狸も僕を見つめていた。その口端にパンくずがついていた。
パンくずを取ってやろうと、僕は見つめてくる大きな瞳に誘われるまま手を伸ばす。僕の動きにぴくんと体を震わせた仔狸は、即座に立ち上がるとまた布団の中へと慌てて逃げ込んでしまった。やっぱりまだ、怖いらしい。
「あー、ごめんごめん。悪気はなかったんだけど……」
もぞり、とまた布団が動く。その入り口をキッスが心配そうに覗き込んでいた。
僅かに開いた布団の中から大きな瞳が僕を見つめている。僕は首裏を掻くと、ふうと息を吐いて立ち上がった。
「キッス、悪いけど暫く留守を頼むよ。ちょっと買い物に行ってくるから」
戸締りをして、僕は狭いアパートから買い物にいくために財布を持って扉を出た。
雨上がりに相応しい青空だ。今日は良い天気になるだろう。
僕は家の鍵を掛けて、古びた階段を降りた。
不意に視線を感じて、振り返る。一瞬、丸い耳のようなものが部屋の窓から覗いていたような気がしたけれど、気のせいかもしれなかった。
僕は息を吐いて、水溜りを踏んだ。餌付けというわけではないが、何か美味しいものでも買っていってあげようと思いながら。
僕は足音を消さず、ゆっくりと近付く。突然現れてびっくりさせてしまうのも可哀想だったからだ。
「大丈夫かい?」
優しく、囁くように。僕はその小さな存在に近付く。気配に気付いてか、びくりとした仔狸は布団の中へと引っ込んでしまった。
僕は布団を覗き込む。布団の中に引っ込んだその様はまるで亀みたいだった。そんなことは億尾にも出さず、僕は試しに布団の中に篭城している仔狸に優しく声を掛けみる。
「具合はどう? 怪我は痛むかい?」
怖くないよとアピールをして、その布団の中の暗がりを見つめる。二つの大きな目は、怯えの色を強く滲ませて僕を見つめていた。
「……君に危害を加えるつもりはないのだけど」
僕は布団から僅かに離れて、あらかじめ用意しておいた食事を見せる。ぴくりとその丸い耳が動くのが見えた。
「お腹、空いてない?」
じっと二つの目は僕の手元を見ている。次に僕を見て、また手元を見た。疑うようなその眼差しに、僕はそっと食事を置いて離れた。見知らぬ人を警戒するのは、仕方がないことなのかもしれなかった。
「あ! こら、キッス!」
いつの間にか僕の傍らに降りていたキッスが、僕の静止も聞かずにひょこひょこと跳ねながら布団の中へと潜り込んでいく。
中から「くるる」と柔らかな声が聞こえると同時に、仔狸が威嚇する声まで聞こえてくる。
はらはらと見守っていると、そんな僕の心配を余所に威嚇する声が次第に小さくなっていった。キッスの宥めるような声音は、相変わらず布団の中からくぐもって聞こえてきていた。
やがて、キッスに追い立てられるように中からのそりと仔狸が出てきた。きょろりと辺りを見回した仔狸は、僕を見つけると途端に緊張したような面持ちになる。
キッスは仔狸の後に布団から出てくると、その嘴で今度は僕が用意した食事を勧め始めた。
ちらりと僕と、食事と、キッスを仔狸は暫く何か考え事でもするように眺め、やがて空腹に耐えかねたのか、恐る恐る食事に手を伸ばし始める。
満足気にそれを見守っていたキッスが、僕を見つめてどこか誇らしげに鳴いた。
「……凄いじゃないか、キッス」
キッスはどこか自慢気だ。苦笑を浮かべた僕は、もぐもぐと食事を夢中になって咀嚼している仔狸を見る。思っていたよりも大分元気そうな上に、食欲も大分あるようだ。パン一個程度では、足りないかもしれない。
仔狸はまるで母親のように傍らにいるキッスにもパンを差し出す。キッスは頭をその手に押し付けるようにして、それを断ったようだ。
小首を傾げた仔狸はキッスの意図に気付いたのか、再びパンに齧りつく。なんだか微笑ましい光景に、思わず口元に笑みが浮かべてしまっていた。こんな風に自然と笑うのも、なんだか随分と久しいような気がする。
「……簡素な食事でごめんね。君を一人にするのもちょっと心配で、買い物に行けなくてね。あとでもうちょっと栄養のあるものでも、買ってくるから」
あと洋服もだろうか。僕のシャツを着せてはいるけど、あまりの体躯差にどうにも心許なさ過ぎる。
仔狸は僕の言葉に耳をぴくりとそばだてると、口元をもぐもぐと動かしたまま僕をじっと見つめてきた。
布団の上でふわふわとした尻尾が揺れ動く。僕を見つめていた仔狸は、パンを食べる手を止めてじっと僕を見つめている。
「……どうかした?」
よたよたとした足取りで、本当に恐る恐る僕との距離を測りながら仔狸は僕に近付いてくる。小さな手でパンを千切ると、キッスにそうしたように僕にそれを差し出す。
とっても心の優しい仔なんだろうことがよくわかるそんな気遣い。僕は首を振った。
「全部君が食べていいよ。別に食料がないわけじゃないから」
僕の言葉を気にしてくれたのかもしれない。苦笑を浮かべて言えば、首をまた傾げた仔狸はぺたんとそこに座った。 僕をじっと見つめながらパンを食べる仔狸が、そのパンを丸々食べ終えてしまうのを待った。僕はじっと仔狸を見つめる。仔狸も僕を見つめていた。その口端にパンくずがついていた。
パンくずを取ってやろうと、僕は見つめてくる大きな瞳に誘われるまま手を伸ばす。僕の動きにぴくんと体を震わせた仔狸は、即座に立ち上がるとまた布団の中へと慌てて逃げ込んでしまった。やっぱりまだ、怖いらしい。
「あー、ごめんごめん。悪気はなかったんだけど……」
もぞり、とまた布団が動く。その入り口をキッスが心配そうに覗き込んでいた。
僅かに開いた布団の中から大きな瞳が僕を見つめている。僕は首裏を掻くと、ふうと息を吐いて立ち上がった。
「キッス、悪いけど暫く留守を頼むよ。ちょっと買い物に行ってくるから」
戸締りをして、僕は狭いアパートから買い物にいくために財布を持って扉を出た。
雨上がりに相応しい青空だ。今日は良い天気になるだろう。
僕は家の鍵を掛けて、古びた階段を降りた。
不意に視線を感じて、振り返る。一瞬、丸い耳のようなものが部屋の窓から覗いていたような気がしたけれど、気のせいかもしれなかった。
僕は息を吐いて、水溜りを踏んだ。餌付けというわけではないが、何か美味しいものでも買っていってあげようと思いながら。
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