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拍手ありがとうございますっ!
励みになりますー(*´ω`*)うへへ、嬉しい!

さて、本誌もなんか凄いことになってますねー。ココさんスーツ脱ぐ姿が色っぽ過ぎてやばい。
あとあのトリコさんとココさんの激怒加減なんなの。コミックスではやく読みたいー!
あ、あと映画も今夏やるんですね。凄くいきたいっ、みたい!
多分、ぼっちで、みに、いく、と、おも……っ!な、ないてなんかないよっ!誰かいきませんか!←



あ、以下グルメ国記パロ続きです。
某方との萌えトークが凄過ぎてもう筆が追いつかない…!w
萌えっ!


※原作忠実パロではありません

※設定色々捏造中です。

苦手な方はご覧にならないようにして下さい。


呆気なく溝が埋まりました。





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 テリーは颯爽と黄海の奥深くへと入って行く。そこは不気味とも言える場所だった。岩山は人を歓迎しているようには見えず、どこか殺伐とした岩山が連なっている。朝早くに出た筈なのに、既に日は暮れている。今日は野営になるだろうというのは、トリコの言葉だ。
 上空を見れば、ココの乗っているキッスが優雅に飛んでいる。それをテリーが追い、まるで岩山を縫うように駆け抜けていった。
 ココがキッスに乗るか。と、小松に聞いてきた時、小松は首を振ってその申し出を断った。ココと共にいるのは楽しいし、安心出来る。だけど、小松に突き刺さった棘はしくしくと小松の胸を未だ苛み続けている。
『君は今、この国にとって、とても大事な存在だから……』
 あれ以来、小松はココと、上手く話せる自信がなくなっていた。ココもトリコも、小松が麒麟でなければこれ程良くはしてくれなかっただろう。それ を思うと、小松の胸は刺さった棘の痛み以上に深い悲しみに包まれる。小松は自身を支えてくれているトリコの腕を掴む手に、無意識に力を込める。
「……どうした?」
「え?」
 風を切りながら走るテリーの上。トリコの静かな声が耳に落とされる。
「いつもは煩せぇくらいに喋りまくってんのに、今日はやけに静かじゃねえか」
「……そう、ですか? テリーが走るのが速くて、ちょっとびっくりしてるだけですよ」
 小松は前を見たまま、取り繕うようにそう言った。テリーはひたすらキッスを追って掛けていく。二匹は小松には到底信じられないスピードで黄海を駆けていた。小松の知るどの車よりも、うんと速い。
「ま、いいけどよ」
 嘘を言っているであろうことは、もうトリコにはばれているだろう。小松は小さく、息を吐き出した。
「……何かあったら、言えよな」
 小松はトリコのその言葉には、素直に頷いた。それと同時にキッスの上でココが何事かをトリコに合図する。それに了承するサインを出すと、トリコは小松をぐっと抱え込む。
 ちらりと小松が仰ぎ見たトリコの顔は、ただひたすら前を向いていた。テリーの速度が緩やかに落ちていった。周りの風景がやっとはっきり見えるようになった頃、キッスが風を巻き起こして地面へと舞い降りてくる。
「よっし、苦労をかけたな、テリー!」
 トリコがテリーへ、労わるように声を掛ける。テリーは息を荒げながらも、嬉しそうにトリコの言葉に一超え鳴いて見せた。
「小松君、長い間ご苦労様」
 キッスへ労わりの声を掛けたココが、ふわりと小松の横にまで飛び降りてくる。小松はトリコの手に降ろされながら、ココを見上げた。
「いえ、僕は乗っていただけですから」
「ま、座ってるだけもなかなかの重労働だからなっ」
 トリコが笑いながら、小松の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。そこで小松は、小さく息を吐きだした。ずっと言わなければならないと思っていたことを、今ここで言わなければならない。
「あの、トリコさん、ココさん」
「あ? どうした?」
 テリーやキッスの背中から荷物を降ろしている二人の背中へと向けて、小松は言葉を掛けた。
 一瞬、小松はその言葉を言おうかどうか、躊躇した。けれど、それでも二人には言わなければならないと小松は自分を奮い立たせた。
「先程は、女仙が失礼しました」
 ココとトリコがぴくりと体を揺らす。あの蓬山の主であるのが自分なのであれば、それは自分が謝らなければならないことだと、小松はぐっとたじろぐ自分を堪えて二人を見上げた。
「……小松君が謝ることではないだろう?」
 その声に視線を上げると、ココの柔らかい、包み込む様な視線と目があった。
「でも、あの、女仙を悪く、思わないでくださいね。彼女達が言うのも、無理はないんです」
「そりゃあそうだろうよ、だってお前の身が一番だからな。あいつらにとっては」
 トリコが呑気に答える。小松は首を振って、それは違うと否定した。
「ちがう、ちがうんです。そうじゃなくて、あの……」
 トリコとココが、小松の様子に首を傾げた。小松は酷い喉の渇きを覚える。喉が干からびたように、言葉が張り付いて出てこない。これを言うのは怖かった。それでも小松は、こんなに良くしてくれた二人を騙すようなことを、もうしたくなかった。
「ぼくが、頼りない、から……だから、女仙達は気が気でないのだと思うんです」
 じわり、と涙が出そうになったのを、小松は俯くことで堪える。泣きたいのはこんな麒麟を施された民であり、自分ではないのだと言い聞かせて。
 ふと、足音が聞こえたかと思いきや、トリコかココか、どちらかの足が俯いた小松の視界に入る。それはどうやらココだったようだ。膝をついたココが、そっと小松の頭を優しく、宥めるように撫でた。
「どうして、そう思うの?」
 ココの瞳には、ただ労わりの色が浮かんでいる。小松は更に衣服の裾をぎゅうっと握りしめながら、息を吸い込んだ。
「僕は、使令を持っていません。病気の、麒麟だから」
「病気?」
 ココの背後まで歩いてきたトリコが、小松の言葉に眉を顰めた。小松はその言葉に首を振って答える。益々怪訝そうな顔をしてみせるトリコの顔を見て、ついに小松の瞳からぽたりと雫が零れ落ちて行った。
「おい、トリコ……」
「お、俺は何もしてねえだろうがっ!」
 じっとりとココに睨まれて、トリコは慌てたように両手をあげた。ココが溜息を吐き出すと、呆れられたのだと思った小松が体を震わせる。ココは「君に対してじゃないよ」と告げると、小松の頬を伝う涙を指先で拭ってやった。
 ココの優しい手にじわりと再び涙が溢れる。泣いてはいけないと、小松がそう思えば思う程、小松の目からは涙が溢れていった。
「ごめ、ごめん、なさい……っ、ぼく、麒麟なのにっ、何も、出来ない……っ!」
 しゃくりあげながら、小松はぼろぼろと涙を零す。小さな手で目を擦ると、ココがその手を絡め取った。涙を拭うことの出来なくなった小松は、嗚咽を漏らしながら言葉だけを紡いでいく。
 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
 こんな麒麟でごめんなさい。何も出来なくてごめんなさい。折角沢山の、色々な愛情をいっぱい貰っているのに。ぼくは何一つ、返せそうにありません。
 その言葉に、ココもトリコも何も言わなかった。小松はしゃくりあげながらも、必死に言葉を紡ぐ。きっと二人はこの国の行く末を案じている。だっ て、今二人の目の前にいる何も出来ない麒麟こそが、二人の国の麒麟なのだから。不安に思わない方がおかしい。そう思わせてしまう自分が情けなくて、小松は また涙を零す。
「それに、僕は……本当に麒麟なのかすら、わからないんですっ」
「何を……」
 トリコが紡ごうとした言葉を遮り、小松は続ける。
「もしも麒麟なのだとしても、出来損ないの麒麟なんです!」
 ぽろぽろと零れ落ちて行く涙。歪む視界の先で、トリコとココが困っているのが小松にはよくわかった。はやく泣き止まなければ。そうは思うのに、涙は止まってはくれない。
「麒麟のことなんか、何も、わからな、くて……っ! この世界のことも、使令のことも、何も、わかってないんです!」
 二人の顔を、小松はもう見ることが出来なかった。だって、きっと軽蔑されている。天帝は何故、戴国にこんな出来損ないの麒麟をと、罵倒されてもおかしくないことだと小松も常々思っていた。零れ落ちた言葉は、涙と同じようにもう元に戻すことは出来ない。
 今まで楽しかった日々も、ココと一緒に料理をしていたことも、全部、全部今日で終わってしまう。そう思うと辛かった。それでも、騙すような真似をするよりはずっとマシだと、小松は考える。
 騙すような真似をしてごめんなさい。出来損ないでごめんなさい。小松はただひたすら謝り続けた。
 ずっとずっと、小松はこの世界にいながら、心のどこかで怯えていた。居場所を失うことが、温かく接してくれる人を失うのが、大好きな人が自分から離れていってしまうのが、怖い。
 どこにいても、何をしても、それはずっと小松の中に巣食っていた不安だった。
 トリコもココも、先程からずっと何も言わない。呆れられたんだろうと思うと、苦しかった。この国の麒麟が出来損ないだと知って、きっとがっかりしているに違いないと、小松はぎゅっと目を瞑る。
「ぼく、転変をしたことがないんです。未だにやり方もわからないし、妖魔の折伏だってしたことがない。何も、出来ないんです」
「小松君……」
 そこで初めて、ココが小松の名を呼んだ。自分のマントで小松の顔を拭おうとしたココの手を拒み、小松は言葉を続ける。
「こんな麒麟でごめんなさい。こんな、出来損ないの、麒麟で……ッ!」
「小松君っ!!」
 ココの手が小松の肩に触れた。思いの外力強いそれに、小松の目尻に溜まっていた涙が一粒、零れ落ちた。
 小松が見上げた先にあるココの顔は、どこか苦しそうだった。眉根は寄っていて、何を言いだそうか迷っている風でもある。この国の麒麟が、こんな出来損ないだと知って絶望しているのだろうか。
 ココが手を伸ばせば、小松はどこか怯えたようにその手を拒んだ。そんな小松の抵抗も気にせず、ココはマントで小松の顔を拭う。驚いたように体を竦めた小松が、ココの太い手を掴んだ。
「ココ、さ……ッ?」
「出来なくたって、いいんだよ」
 マントからやっとの思いで小松が顔を出すと、そこには驚く程近くにココの端整な顔があった。ココの言葉に目を見開いた小松に、ココはやや辛そうに顔を歪めると涙の跡が残るそこを親指で拭う。
「最初は誰だって、出来ないことがあるさ。それは麒麟だって、王になる人間だって同じだと思うよ」
 ココの静かな声で紡がれた言葉は、罵声でも怒声でも、祖国を心配する声でもなかった。そのことに小松は「え?」と、ココを凝視する。ココは小松の視線に柔く微笑むと、そっと小松の頬を慈しむように撫でた。
「だから、出来なくたっていいんだ。あまり自分を責めちゃ駄目だよ。そういうことをしているとね、見えるものも、見えなくなっちゃうんだ」
 ココの手の温かみを頬に感じて、小松はまた泣き出しそうな気持ちになる。その眼差しや声は、決して小松を拒絶してはいなかった。
「……ココ、さん」
「君は君のままでいて、いいんだよ」
 ココの眼差しも、手も、優しかった。決して責めることなく、諭すように紡ぎだされたココの言葉に、小松はこくんと一度だけ頷く。涙はいつの間にか、ぴたりと流れ落ちるのを止めてしまっていた。
「よし。涙も止まったね」
 ココが笑って、マントの裾でまたぐしゃぐしゃになった小松の顔を拭う。上等なマントだったろうに、それを涙や鼻水で汚すことをココが躊躇することはなかった。
「……はー、何を言い出すのかと思えば、そんなことかよ」
「わぷっ?!」
 横にきていたトリコが、ぐしゃぐしゃと小松の頭を撫でる。小松が驚きながら頭を抑えてトリコを見上げると、見上げた先にいたトリコがにかっと笑って見せた。
「なんだよ。俺らが、そんなことでお前に愛想でも尽かすと思ったか?」
「えっ……だ、だって、戴の麒麟、ですよ? こんな、出来損ないの麒麟、嬉しい、ですか?」
「君は出来損ないなんかじゃないよ」
 ココの手が伸びて、ぎゅっと小松を抱き締める。驚きに体をカチコチに固めた小松が、ぎょっとしたように今度はココを見上げた。
「こんなに優しくて、温かい心を持っているんだもの。例え、もしも麒麟じゃなかったのだとしても、僕は君と、これからもこんな関係を築いていきたいと、そう思うよ?」
 ココの言葉に、小松は目を見開いた。
「だ、だって……ココさ……っ! 僕が麒麟だから大事だって……!」
 小松の言葉に、ココはあぁ。と、どこか納得したような声をあげた。小松を抱き上げたココは小さく苦笑を浮かべると、小松の顔を見ながら照れくさそうに微笑む。
「勿論、麒麟は大事な存在だよ。この国にとって、ね。でも、僕は一個人として、君を守りたいと思うし、一緒に料理したり、話をしたいって、そう思 う。だけどほら、女仙は個人的な理由で君を連れ出すのを、きっと良しとしないだろう? あの場ではああ言うしかなかったんだよ」
 ココの言葉に、小松は呆けたような顔をした後、すぐにうるうると瞳を潤ませた。
 その姿にぎょっとしたココが、思わず体をびくつかせる。それを見ていたトリコが、けたけたと笑い声をあげた。
「結局お前も泣かしてんじゃねーか」
「不可抗力だよっ!」
 ごめんね、僕、何か酷いこと言った? 慌てふためいて小松の顔を覗きこんでくるココに、小松は再びぽろぽろと涙と鼻水を垂らしながら首を振った。それから今度は自身の袖で顔を拭うと、ココの首へと抱きつくようにその腕を回した。小松を落とさないようにと回されたココの腕に、力が篭る。その抱き締められているような状況が嬉しい。ぎゅうと力いっぱいにココに抱きついた小松は、ぐずぐずと鼻を鳴らしながらなんとか言葉を紡ぎ出す。
「だいすき、です」
「……小松、君っ?」
「トリコさんとココさんが、だいすき、ですっ!」
 ふえぇっと、声をあげて泣き始めた小松の姿に、ココとトリコが瞳を和らげた。トリコの大きな手に頭を撫でられて、ココの手には背中をあやすように叩かれる。ここにいてもいいのだと二人の手が告げているようで、小松はまた新しく流した涙を、ココのマントへと零すのだった。
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