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拍手いつもありがとうございますっ!
うおおっ、子供ネタの記事にいっぱい拍手ありがとうございます!
わー、チョーシ乗っちゃう(*´ω`*)←
このお話ってきっと、書いている私が実は一番幸せなんだろうなと思う今日この頃です←
子供達成長したらうんと楽しくなってきましたー(*´ω`*)四天王と絡ませたりするの楽しみです。


!!注意書き!!

※二人に子供が出来ています。

※かなりのねつ造キャラが入り中。

※主に二人の子供は完全なるオリジナルとなりますのでそこらへんも苦手な方は見ないで下さい。

※にょたコマです

上記が苦手な方は見ないで下さい。
大丈夫な方は続きよりどうぞー!


キッスの水浴び


拍手


【夫婦の密かな約束】


「うわあ!? ちょっとキッス! いきなり羽を震わせないでよ!」
 水面が太陽の光に反射して煌いている。水辺の近くに生えていた木の根元にレジャーシートを広げ、僕は息子と戯れる父親とキッスを見ながら、昼食の準備をしていた。
 ぎゃあぎゃあと喚くシエルの声に混じって、キッスが羽をばたつかせる音がする。今日はキッスの水浴びの日だ。
 キッスはココさんがいなくても水浴びとか餌採りには勝手に一人で行ってしまうことがよくあるんだけれども、今日は子供達とのピクニックも兼ねてそんなキッスの時間にお邪魔した。
『キッス、嫌がりませんかね?』
『うん? 大丈夫だよ、だって僕らは家族でしょう?』
 この話が持ち上がったとき、キッスも一人で静かになりたいんじゃないかと思っていたのだけれど、ココさんはそれはないと言う。ココさんの口から紡ぎ出されたその言葉を思い出して、僕は小さく笑みを浮かべた。
「本当に男って、どうしてああいうのが好きなのかしら」
 横から聞こえてきたルーチェの声に、僕は視線を向ける。ちょっとうんざりしたような顔でココさんとシエルを見つめる眼差しには呆れの色が滲んでいた。その膝には摘んできたのであろう野花が置いてある。花冠を作っていたようだ。こういうのを見ると、女の子だなあと僕は感慨深くなる。僕がルーチェと同い年くらいの時は、どちらかといえばシエルみたいな遊びばかりしていた筈だ。
 ルーチェはココさんに教えて貰った花冠を作るのが好きなようで、よく作っては僕やサニーさんにプレゼントしてくれる。
 今日もせっせと花冠を作るルーチェの手元を見つめながら、僕は微笑んだ。
「ふふ、混ざれば楽しいかもよ?」
「いやよ、濡れちゃうもの」
 ルーチェの口はそう言いながらも、それでもなんとなくココさん達が気になるようだ。
 水の跳ねる音と、シエルの笑い声に混じって、ココさんの笑い声が聞こえてくる。ココさんも楽しそうだ。キッスの羽を撫でてやりながら、シエルに水を掛けて遊ぶ姿は、まさしく良い父親の鑑のように思える。
「にゃあ?!」
 不意にココさんが掛けた水に驚いたシエルが転び、水の中へと盛大に尻餅をし掛けた。じっとシエルを見守っていたキッスが、間一髪嘴でシエルを支える。背中を支えられたシエルは何が起こったかわからない様子で、目を白黒とさせているようだ。
「……だっさい」
 そんなシエルの姿に、ルーチェが声を立てて笑う。ムッとしたような顔をしたのは、シエルだ。
「あー! ルー! 今、笑っただろ!」
「うん。シエルは相変わらず落ち着きがないんだなって、思ってた」
「笑ったのは否定しないんだね……」
 くすくすと笑ってちくりとした言葉を言うルーチェに、シエルの頬が紅く染まる。全く持って、最近のルーチェは昔のココさんそっくりだ。ちくりとした物言いとか、仕草とか。お陰で、こんな兄妹喧嘩はしょっちゅうだ。最も、シエルが手を引くので激しい喧嘩になることはないのだけど。
 ふと、シエルの足が不吉な動きを見せた。おっと、これは不味い。
 僕はささっとお弁当を一つに纏めると、シエルが水を蹴り上げるのと同時にさっとお弁当箱を避けた。
「やだ?! ちょっと、何してくれるのよ!」
 もろに水を被ったルーチェが、ハッとしたように僕を振り返る。僕も多少濡れたものの、お弁当は無事だ。ほっとしたような表情の後に、ルーチェはジト目で僕を見つめる。
「……ホント、こういう危機管理だけは凄いよね、ママ」
「は、ははは、ごめんね? それよりほら、いいの? やり返さなくて」
 僕の言葉に、ルーチェがにやりと意地悪そうに笑う。その顔は正しくココさんと瓜二つだ。
 膝の上に乗せていた花達を避けて立ち上がると、ルーチェは戻ってきたココさんとバトンタッチするように音を立ててハイタッチをして、水の中へと走り出る。
 なんだ、やっぱり遊びたかったんじゃない。シエルの待っている水辺に飛び込んだルーチェを、シエルが慌てて抱きとめるのが見えた。結局抱きとめきれずに、兄妹二人は水の中へと頭から飛び込んでいく。シエルもどうやら、ルーチェと遊びたかったらしい。なんだかんだで仲が良い二人は、水の中で戯れてけたけたと声を立てて笑う。キッスだけが慌てたように羽をばたつかせているのが、ちょっと面白い。あんなキッスの姿はなかなか見られたものではない。
「あーあ、あれは帰りが大変だよ」
「そのようですね。タオルと替えの服、沢山持ってきておいて良かったです」
 ココさんが僕の言葉に笑いながら、水溜まりだらけになったレジャーシートの上をタオルで拭いている。ある程度拭き終えると僕の横に腰を降ろして、水浸しになった二人に柔らかい視線を一度送る。
「ありがとうございます」
「大丈夫?」
 タオルで濡れた足や腕を拭きながら、ココさんが僕を見下ろした。
「ええ、お弁当は死守しました」
 僕は自慢気に胸を張る。伊達にやんちゃな四天王達を相手にしてきた年月は馬鹿に出来ない。四天王が揃って僕が料理をする時は、いつも死闘だ。喧嘩に発展した時に如何に素早く料理を守れるか、宥められるか。僕はいつも気が気じゃなかった。いや、彼らが料理や食材を無下にするようなことがないのはわかっているけれども、気持ちの問題だ、気持ちの。
「そっちじゃなくて」
 ココさんの手が、僕の濡れた衣服を触っている。
「あぁ、ほら。やっぱり濡れてる」
 あぁ、そっちか。僕は自分の姿を見下ろし、苦笑を浮かべた。持ってきていたタオルで拭こうとすれば、ココさんの手がそれを奪い取る。
「ココさん?」
「僕にやらせて」
 何もそんな大袈裟な。僕の言葉を遮って、ココさんは僕の服をタオルで拭っていく。そんなに濡れていないのになあと思いはすれど、どこか嬉しそうなココさんに、もう好きにさせるようにした。
 どちらかと言えば、ココさんのが濡れているくらいだ。その髪の毛から、ぽたりと水滴が落ちるのが見える。僕はココさんが首に掛けていたタオルを奪い取ると、そっとその頭を包み込んだ。
「小松君?」
「いくら春先で暖かいとはいえ、風邪を引いちゃいますよ。服も着替えた方が……」
「大丈夫だよ、僕は丈夫だから。それに、どうせまた後で濡れるよ」
 でも気持ちいいから、もうちょっと甘えてようかな。そんなことを言いながら、ココさんはくつりと笑って僕の膝に頭を落とす。
「あっ、ちょっとココさん!」
「……ちょっとだけ甘えさせて。子供達ばっかりいっつも君を独占するから、僕、小松君不足なの」
 ココさんの言葉に、僕はぼっと顔から火が出るかと思うほど紅くなった。お昼ご飯の用意が出来ませんよ。とか、色々文句を言いたかったのに、これじゃあ何も言えなくなってしまうじゃないか。そんな僕の心情を知っているんだろう、ココさんは幸せそうに笑うと、静かに目を閉じた。
「もう……」
 ちょとだけですよ。と、言って僕はココさんのまだ少し湿り気のある髪を撫でた。結局、僕が一番甘いのは多分、この人に違いないのだ。
 春らしい風が、さわさわと木々や葉を揺らす音が気持ち良かった。
 キッスもどうやら水から上がったようだ。日向で体を丸め、羽繕いしている。子供達もキッスの羽繕いを、邪魔しているんだか手伝っているんだかよくわからないけど、キッスの回りを走り回ったり、羽に飛び付いたりしている。あれではキッスも休めないのではないかと思うけれど、キッスも嫌がるような素振りではなさそうだったので、あえて見守ることにした。
「……キッスもよく見てくれますよねえ」
 子供達を助けてくれたり、構ってくれたり。子供達もキッスが大好きだし、キッスもわりと満更でもなさそうに見える。
「小さい頃から見ているせいか、キッスもあの子達のことが可愛くて、仕方ないみたい」
 ココさんが目を開いて、横目でキッスと子供達が戯れる姿を見つめて微笑んだ。それこそココさんは小さな頃からずっとキッスと一緒だったのだという。意思疎通も完璧だし、たまにアイコンタクトで会話しているような仕草さえ見受けられる。
 僕はちょっとムッとしながら、ココさんの頬をそっと撫でた。僕に視線を戻したココさんが目元を悪戯っぽく細めて、優しく笑ってくれる。
「キッスに妬いた?」
「少しだけ」
 僕の言葉に、ココさんが目を見開いた。その顔が面白くて、僕はくすりと笑う。
「もしかして、からかった? 意地悪だね」
「子供達みたいに、誰かさんの若い頃に似てきたのかもしれません」
 僕の言葉に、ココさんがムッとした顔をする。ん、やっぱりシエルもココさんにちょっと似てる所があるようだ。どちらかと言えば僕に似ているらしいシエルだけど、こういう顔はココさんに似てると思う。
「……僕はまだ若いよ?」
「気持ちだけかもしれませんよ? にゃっ!」
 ココさんの腕が、ぎゅっと僕の腰に絡み付いた。子供たちから見えない位置で、つつ、と背筋を撫でられる。ぴくりと震えた体に、ココさんが笑った。
「ん……っ、もうっ!」
「ふふ、可愛い」
 してやったりと言うような顔をしたココさんの手が、僕の首裏をそっと撫でる。その手が意図していることを感じ取り、僕はちらりと子供達を見た。子供達は遊びにすっかり夢中のようだ。
「こっちのことなんか気にしないよ、今は束の間の夫婦の時間」
 囁くようにココさんが僕に言葉を甘く落とす。引き寄せようとする大きな掌に、僕は逆らうことも出来ずに頭をココさんの上へと落としていった。
 触れ合った唇は甘い。それと同時に、ほんの少しの物足りなさを感じる。ふるりと震えた体に、ココさんも気付いたようだ。僕の唇を親指で拭いながら、ココさんも目を眇めてぺろりと唇を舐める。父親の顔から、一気に男の顔へと変わったココさんに、思わずどきりとしてしまう。
「もっと君の甘い唇をたっぷりと味わいたい所だけど……それは次のデートまでお預けかな」
 ココさんが起き上がる。膝から重みが消えたのを、どこか寂しいと感じてしまった。そんな僕に気付いたココさんが、そっと僕の頬を大きな掌で包み込んでくれる。
「そんな顔しないで。今すぐここで、食べてしまいたくなるじゃないか」
「……次のデートまで待てないって言ったら、どうします?」
 ココさんの掌に口付けて、僕は誘うようにそっとその太い首に腕を回す。ココさんがぴくりと震えて、次にはどこか照れたように視線を逸らしてしまった。
「本当に君ってば、昔からたまにびっくりするほど大胆な発言をするよね」
「品がないって、呆れますか?」
 ココさんの首の後ろで手を組むと、再び僕へと視線を戻したココさんが、ふっと笑う。
「まさか。呆れる所か、ますます君の虜だよ。そうだな、それじゃあ早速今晩、僕に付き合って貰えるかな? 僕の可愛い奥さん?」
 子供達の寝静まった頃に。
 そう耳元で囁かれて、僕はそっと耳にキスをされる。
「……勿論です」
 僕の返答に、ココさんが嬉しそうに笑った。
 それは子供たちにもキッスにも内緒で交わされた、夫婦だけの密かな約束の時間。
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