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【初夜の策略】
小松はいつになく緊張していた。ベッドの上で、かちんこちんになりながら正座をしている。
居間を抜けた先にある浴室では、ココが今体を洗っている所だろうか。
小松はその裸体と、これから起こるであろうことを想像して、ぼっと顔を赤らめた。
好きだと言った、好きだと返して貰った。あれから、もう数年が経っていた。
二人でデートしたり、美味しいものを食べたり、喧嘩したり、すれ違ったり、思えば色々あったなあと、小松はなんだかしみじみと、晩ご飯を作りながらそんなことを思っていたのはもう数十分も前のことだ。
近くに立って一緒に料理をしたりするのは何もあれが初めてというわけでもなかったのに、小松はいつになく落ち着きがなくなった。これでは駄目だと、小松は目の前の料理に集中することにしたのだけれども、やっぱりそわそわして落ち着かない。
知らず、小松は恋人である男とのその近しい距離に、緊張していた。
『次に逢う時は……』
小松の聞き間違いでなければ、確かにココはあの時そう言った。
そう言えば、と、小松はそこまで思い出してふと気付いた事実に俯き掛けていた顔をあげた。料理が出来上がって、至極自然な流れで皿を手渡され たっけ、と。あの時も、今までも、ずっと気付かなかったことだけれど、それは小松とココが付き合ったばかりの頃にはなかったことだった。いつも「お皿を 取ってくれますか」と、いう声と共に、ココが取ってくれるのが日課だった筈なのに、確かに最近その言葉を言った記憶がない。
小松はそこに二人で積み重ねてきた時間を感じた。緊張していたことも忘れて一人、部屋の中で淡く笑う。その積み重ねてきた時間が、想いが、とても嬉しいと思う。
「お待たせ」
そんな考え事に想いを馳せていた小松は、不意に扉が静かに音を立て開かれたのを見て、どきりと心臓を跳ね上げた。
一瞬、明かりのついていない寝室に差し込んだ居間の明かりに目を細める。目が慣れると、そこに人の姿が見えた。誰かはもはや、言うまでもない。
上半身は素肌のココを小松は見やる。綺麗な筋肉のついた体だ、と見惚れると同時に羨ましくもなる。ココはそんな小松の心の内を知ってか知らずか、ベッドの上にいる小松を見つめると、不意にその視線を細めた。
その仕草は、今でも小松をどきりとさせる。時間は経過しても、その端整な顔に、視線に見つめられることに、小松は未だ慣れないでいる。
「……ずっとその格好でいたの?」
「え? あ、あぁ、はい……」
ココは小松の言葉に、苦笑を浮かべた。ゆっくりとした足取りで小松の座るベッドに近付くと、そこに腰かけて小松の頭に手を伸ばす。
ぴくん、と震えた小松の頭を撫でて、ココはその体を優しく引き寄せた。
「嫌ならしないよ。ずっと、今日ここに来てから不安そうだったもんね」
やはり、ばれていたらしい。小松はココの言葉に、ふるふると首を振った。
「いや、というか……あの、」
「うん?」
ココの唇が小松の額に押し付けられる。体をぎゅっと抱きしめられて、その心地よさに小松はほうと力を抜く。まだ少し濡れたような髪の毛が、小松の頬をくすぐった。
「は、はずかしい、と、いうか……」
「どうして? 挿れたことはないけど、擦り合いっことかはしてただろ?」
その明け透けな言い方に、小松は顔を更に赤らめた。
「ココさんの、ばかっ!」
確かにそういった行為はしていた。その時のことを思い出し、小松はココの体を引き剥がし、ぷいと体ごと顔を背けた。
次は抱きたい、と、ココに唐突に宣言されたのは前回、そういう行為をした後の話だ。
小松は不意に訪れた不安に、唇を噛み締める。
「ごめんね?」
ココがぎゅうと小松を後ろから抱き締めた。そのまま髪に、ココの頬が寄せられる。
「ココさん……」
小松はココの体に手を触れた。その皮膚の下にある筋肉の存在を感じて、神様は不公平だと不満を漏らしたくなった。出来るなら自分にもこんな筋肉が欲しいものだと、ココが聞いたら顔を顰めそうなことさえ考える。
ふふ、とココが笑った。小松は思考を中断して、ココを見上げた。
「可愛い、小松君」
「かわっ……?!」
ココの言葉に小松が抗議を上げる間もなく、小松の体は柔らかなベッドの上に沈みこむ。唐突なことについていけない小松の目の前に、ココがギシリとベッドの音を立てて覆い被さってくる。
「ココさ……っ、」
「優しくするよ。痛くもしない。気持ちいいことだけ」
これはおまじない。
そう言って、ココは小松の額に、瞼にと口付けを繰り返す。くすぐったいそれに、小松はくすくすと声を漏らした。
「くすぐったいですよ、ココさん」
顔をあげたココの目が、優しい。手を伸ばしてその頬に触れると、ココの手がその手を包み込むように握ってくれる。
「どう? 僕に任せてみる気はない?」
その瞳にも、僅かに緊張の色が浮かんでいた。緊張していたのが自分だけでないことを知って、小松は目を細めて僅かに頷く。
「ココさんに、なら……」
腕をあげて、小松はココの太い首へと手を伸ばした。
「んん、あっ! ココさ……もう、やだ、ぁっ、」
「ごめん。もう少し、付き合って」
はぁ、とココの額に汗が滲む。辛そうなその顔を涙で滲む視界に映し、小松も不規則になってしまいそうな呼吸をゆっくりと吐き出した。
足を開かされて、恥ずかしい格好でココを受け入れている。ずぐ、と深く自分の中に入り込んでくるココに、小松はびくんと背筋を仰け反らせた。
「ぁ、ああっ、あ!」
「こまつ、くん……っ」
ココが唇を噛み締めている。自分には唇を噛むなと言った癖に。
何かを堪えているココの唇に、小松は触れた。驚いたように視線をあげたココに、小松はにこりと笑ってそこに口付けた。
「くちびるは、かんだら、だめ、ですよ」
噛んでいた所為で紅くなってしまったそこに触れて、小松は悪戯っ子のように笑う。ココもその姿にふと視線を和らげて、唇に触れた小松の指先に口付けを贈る。
「じゃあ、君も、我慢、しないでね」
ココの言葉に首を傾げた瞬間、ずんと再び奥深くにココが入り込む。そのまま抜き差しを開始されて、小松の腿がぶるりと震えた。
「ひにゃ、あ、あ! はげし、ぁ、ああっ!」
「……く、っ」
ココのペニスに前立腺を強く擦られて、小松の視界に星が飛ぶ。仰け反った体はシーツに優しく抱きとめられて、ココの手は小松のペニスへと添えられる。
「ゃ、ああっ! だめ、そこ、さわらないで、あっ!」
絶妙な力加減で擦られて、小松はいやいやと首を振った。頭の中の回線が強すぎる刺激に大混乱を起こしているようだった。
「すごっ、小松君、凄くきもちよさそうだ……」
良かった。と、言う呟きに、小松はそこで不意に思い出した。
いつもいつも、行為からくる疲れと眠気に押されながらも、ココが自分の体を触っていたことを。
しつこく胸を触ったり、いつか受け入れて貰う所だからと後ろを指で弄られていたり、体中に口付けられたりしていたことを、小松は今になって、唐突に思い出した。
「や、あぁんっ、あ!」
初めて、なのに。
叩きこまれるような暴力的な快楽に、小松はぼろぼろと涙を零した。いつの間にか、ココの手によって自分の体は作りかえられていたらしい。
「あああっ、おか、おかしく、なっちゃ……っ」
びくびくと体が震える。いつの間にかココに知りつくされていた体を蹂躙される。そしてそれを今、小松は事実としてその手から、唇から、貫かれているココ自身から教え込まれた。
「いいよ? もっと、乱れて」
僕の見たことのない君を見せて。と、ココは言う。その羞恥を煽るような言葉に、小松は熱で火照っていた頬を、更に紅く染めた。
「あ、ああっ、ココさ、の……ばかぁっ!」
小松の言葉に、ココがにこりと笑う。小松はココに翻弄されながら、波のように次々と襲ってくる快感をその体に刻みこまれていく。
「ぁ、あ! も、だ、めぇ……っ」
結局この策士の恋人に、自分は心から体まで、最初から全部喰われてしまうのが決定事項だったのだと、小松は白く染まっていく思考の中、そう理解した。
小松はいつになく緊張していた。ベッドの上で、かちんこちんになりながら正座をしている。
居間を抜けた先にある浴室では、ココが今体を洗っている所だろうか。
小松はその裸体と、これから起こるであろうことを想像して、ぼっと顔を赤らめた。
好きだと言った、好きだと返して貰った。あれから、もう数年が経っていた。
二人でデートしたり、美味しいものを食べたり、喧嘩したり、すれ違ったり、思えば色々あったなあと、小松はなんだかしみじみと、晩ご飯を作りながらそんなことを思っていたのはもう数十分も前のことだ。
近くに立って一緒に料理をしたりするのは何もあれが初めてというわけでもなかったのに、小松はいつになく落ち着きがなくなった。これでは駄目だと、小松は目の前の料理に集中することにしたのだけれども、やっぱりそわそわして落ち着かない。
知らず、小松は恋人である男とのその近しい距離に、緊張していた。
『次に逢う時は……』
小松の聞き間違いでなければ、確かにココはあの時そう言った。
そう言えば、と、小松はそこまで思い出してふと気付いた事実に俯き掛けていた顔をあげた。料理が出来上がって、至極自然な流れで皿を手渡され たっけ、と。あの時も、今までも、ずっと気付かなかったことだけれど、それは小松とココが付き合ったばかりの頃にはなかったことだった。いつも「お皿を 取ってくれますか」と、いう声と共に、ココが取ってくれるのが日課だった筈なのに、確かに最近その言葉を言った記憶がない。
小松はそこに二人で積み重ねてきた時間を感じた。緊張していたことも忘れて一人、部屋の中で淡く笑う。その積み重ねてきた時間が、想いが、とても嬉しいと思う。
「お待たせ」
そんな考え事に想いを馳せていた小松は、不意に扉が静かに音を立て開かれたのを見て、どきりと心臓を跳ね上げた。
一瞬、明かりのついていない寝室に差し込んだ居間の明かりに目を細める。目が慣れると、そこに人の姿が見えた。誰かはもはや、言うまでもない。
上半身は素肌のココを小松は見やる。綺麗な筋肉のついた体だ、と見惚れると同時に羨ましくもなる。ココはそんな小松の心の内を知ってか知らずか、ベッドの上にいる小松を見つめると、不意にその視線を細めた。
その仕草は、今でも小松をどきりとさせる。時間は経過しても、その端整な顔に、視線に見つめられることに、小松は未だ慣れないでいる。
「……ずっとその格好でいたの?」
「え? あ、あぁ、はい……」
ココは小松の言葉に、苦笑を浮かべた。ゆっくりとした足取りで小松の座るベッドに近付くと、そこに腰かけて小松の頭に手を伸ばす。
ぴくん、と震えた小松の頭を撫でて、ココはその体を優しく引き寄せた。
「嫌ならしないよ。ずっと、今日ここに来てから不安そうだったもんね」
やはり、ばれていたらしい。小松はココの言葉に、ふるふると首を振った。
「いや、というか……あの、」
「うん?」
ココの唇が小松の額に押し付けられる。体をぎゅっと抱きしめられて、その心地よさに小松はほうと力を抜く。まだ少し濡れたような髪の毛が、小松の頬をくすぐった。
「は、はずかしい、と、いうか……」
「どうして? 挿れたことはないけど、擦り合いっことかはしてただろ?」
その明け透けな言い方に、小松は顔を更に赤らめた。
「ココさんの、ばかっ!」
確かにそういった行為はしていた。その時のことを思い出し、小松はココの体を引き剥がし、ぷいと体ごと顔を背けた。
次は抱きたい、と、ココに唐突に宣言されたのは前回、そういう行為をした後の話だ。
小松は不意に訪れた不安に、唇を噛み締める。
「ごめんね?」
ココがぎゅうと小松を後ろから抱き締めた。そのまま髪に、ココの頬が寄せられる。
「ココさん……」
小松はココの体に手を触れた。その皮膚の下にある筋肉の存在を感じて、神様は不公平だと不満を漏らしたくなった。出来るなら自分にもこんな筋肉が欲しいものだと、ココが聞いたら顔を顰めそうなことさえ考える。
ふふ、とココが笑った。小松は思考を中断して、ココを見上げた。
「可愛い、小松君」
「かわっ……?!」
ココの言葉に小松が抗議を上げる間もなく、小松の体は柔らかなベッドの上に沈みこむ。唐突なことについていけない小松の目の前に、ココがギシリとベッドの音を立てて覆い被さってくる。
「ココさ……っ、」
「優しくするよ。痛くもしない。気持ちいいことだけ」
これはおまじない。
そう言って、ココは小松の額に、瞼にと口付けを繰り返す。くすぐったいそれに、小松はくすくすと声を漏らした。
「くすぐったいですよ、ココさん」
顔をあげたココの目が、優しい。手を伸ばしてその頬に触れると、ココの手がその手を包み込むように握ってくれる。
「どう? 僕に任せてみる気はない?」
その瞳にも、僅かに緊張の色が浮かんでいた。緊張していたのが自分だけでないことを知って、小松は目を細めて僅かに頷く。
「ココさんに、なら……」
腕をあげて、小松はココの太い首へと手を伸ばした。
「んん、あっ! ココさ……もう、やだ、ぁっ、」
「ごめん。もう少し、付き合って」
はぁ、とココの額に汗が滲む。辛そうなその顔を涙で滲む視界に映し、小松も不規則になってしまいそうな呼吸をゆっくりと吐き出した。
足を開かされて、恥ずかしい格好でココを受け入れている。ずぐ、と深く自分の中に入り込んでくるココに、小松はびくんと背筋を仰け反らせた。
「ぁ、ああっ、あ!」
「こまつ、くん……っ」
ココが唇を噛み締めている。自分には唇を噛むなと言った癖に。
何かを堪えているココの唇に、小松は触れた。驚いたように視線をあげたココに、小松はにこりと笑ってそこに口付けた。
「くちびるは、かんだら、だめ、ですよ」
噛んでいた所為で紅くなってしまったそこに触れて、小松は悪戯っ子のように笑う。ココもその姿にふと視線を和らげて、唇に触れた小松の指先に口付けを贈る。
「じゃあ、君も、我慢、しないでね」
ココの言葉に首を傾げた瞬間、ずんと再び奥深くにココが入り込む。そのまま抜き差しを開始されて、小松の腿がぶるりと震えた。
「ひにゃ、あ、あ! はげし、ぁ、ああっ!」
「……く、っ」
ココのペニスに前立腺を強く擦られて、小松の視界に星が飛ぶ。仰け反った体はシーツに優しく抱きとめられて、ココの手は小松のペニスへと添えられる。
「ゃ、ああっ! だめ、そこ、さわらないで、あっ!」
絶妙な力加減で擦られて、小松はいやいやと首を振った。頭の中の回線が強すぎる刺激に大混乱を起こしているようだった。
「すごっ、小松君、凄くきもちよさそうだ……」
良かった。と、言う呟きに、小松はそこで不意に思い出した。
いつもいつも、行為からくる疲れと眠気に押されながらも、ココが自分の体を触っていたことを。
しつこく胸を触ったり、いつか受け入れて貰う所だからと後ろを指で弄られていたり、体中に口付けられたりしていたことを、小松は今になって、唐突に思い出した。
「や、あぁんっ、あ!」
初めて、なのに。
叩きこまれるような暴力的な快楽に、小松はぼろぼろと涙を零した。いつの間にか、ココの手によって自分の体は作りかえられていたらしい。
「あああっ、おか、おかしく、なっちゃ……っ」
びくびくと体が震える。いつの間にかココに知りつくされていた体を蹂躙される。そしてそれを今、小松は事実としてその手から、唇から、貫かれているココ自身から教え込まれた。
「いいよ? もっと、乱れて」
僕の見たことのない君を見せて。と、ココは言う。その羞恥を煽るような言葉に、小松は熱で火照っていた頬を、更に紅く染めた。
「あ、ああっ、ココさ、の……ばかぁっ!」
小松の言葉に、ココがにこりと笑う。小松はココに翻弄されながら、波のように次々と襲ってくる快感をその体に刻みこまれていく。
「ぁ、あ! も、だ、めぇ……っ」
結局この策士の恋人に、自分は心から体まで、最初から全部喰われてしまうのが決定事項だったのだと、小松は白く染まっていく思考の中、そう理解した。
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