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悲しい夢を見た。
そこは酷く寒くて、凍えそうだった。真っ暗で、何も見えなくて、怖かった。
声も出なくて、体も動かすことが出来ない。ただ立っていることしか出来ない。
そんな僕の目の前に、誰よりも大好きな人がいた。そのことに、ほっとしたのも束の間。
『ごめんね』
その時の僕は、その言葉を正確に把握した。
あなたがいなくなってしまう。
それはすとんと、僕の中に事実として、落ちてきた。ただ悲しそうな顔で、ぽつんと「ごめんね」と口にしただけなのに。
凍えていた体が、寒さとは別の意味でぞわりと震えた。
嫌だと思った。凍えてしまうことよりも、真っ暗で何も見えないことよりも、あなたがいなくなってしまうということ、が。
動かない体に必死に鞭打ち、僕は手を伸ばした。それでも、僕の手はあなたのことを掴むことが出来ないし、引き止めることも出来ない。
涙がぼろぼろ零れて、声にならない声を出す。あがく、もがく。
いかないで、いかないで、いかないで。
一人にしないで。おいていかないで。そう言いたかったのに、声は言葉にならない。紡げない。
ココさんは淡く、悲しげに笑うと、暗闇の中へと消えていく。
僕は全部、知っていた。
ココさんがそうと決めた時に、僕はその腕を掴むことも、言葉で情けなく縋ることも、出来ない。
だけど、だけどそれでも。
「……っ!」
ゆさゆさと揺れる体に、僕は暗い水面から浮上していくような感覚を覚えた。そのことに、少しほっとしている自分を見た。
「小松君!」
ココさんの声が、はっきりと耳に届いた。
「……ココ……さん?」
「うん、僕だよ」
僕は布団の中で、手を動かしてみた。それは僕の思った通りに、なんの抵抗もなく動いた。声も出る。だけど、体の末端は酷く冷たいような気がした。
ぼんやりとしていた僕に、ココさんが少し申し訳なさそうに僕を覗き込む。
「……ごめんね、小松君がうなされてたから」
いえ。と、僕は瞳を閉じる。ぽとりと目尻から、涙が零れ落ちた。
ココさんの指先が僕の頬に触れる。涙の痕を辿り、それは僕の頭をゆっくりと撫でた。
「……ごめんなさい。起こしてしまって、」
「そんなこと、いいよ」
気にしなくていい。ココさんは言って、横たわったままの僕の横に体を横たえる。長い腕が僕を包み込んだ。
ぎゅうと力強く抱きしめられて、温かい腕に抱きしめられて、僕はほうと息を吐いた。
「ごめんね、夢の中まで助けにいけなくて」
静かな声が耳を打つ。ココさんの背中に回した手に、力を籠めた。ぎゅうとシャツを握り締めると、ココさんの唇が頭の天辺に押し付けられる。
「ひとりぼっちにして、ごめん」
僕はココさんの言葉に、首を振った。ただの夢だ。
だけど、それがもし、本当になったら。
「ココさんが、いなくなる、ゆめを、みたんです」
「うん?」
「……ひとりに、しないで」
ぽつんと呟いた。いつの間にか、どうしてこんなに好きになってしまったのか。
ココさんがぐっと息を呑み、僕の体を離して体を起こすと、覆い被さってくる。
「君が離せって言ったって、離すもんか」
ココさんの手が、僕の頬を撫でた。温かな手に、視線に、またぽろりと涙が溢れる。
「君は悪い夢を見たんだよ」
僕の目から零れ落ちる涙を、ココさんの唇が掬ってくれる。
頬を掴まれて、鼻梁に口付けられた。そのまま宥めるように、額に、瞼に、目尻に、頬に、顎に、唇にと口付けが何度も何度も落とされる。
「ココさ、」
「大丈夫、大丈夫だよ、小松君」
僕はここにいるだろう?
そう言われて、僕はシーツに包まれたまま抱き起こされて、ココさんの膝の上に乗せられた。ココさんに全身で包むように抱き締められて、僕の強張っていた体から力が抜けていく。
「泣かないで、悲しまないで。怖いなら、夢の中でだって構わない、僕の名前を呼んでくれ」
すぐに助けにいくから。
それが例え、気休めの言葉だとしても、なんだかココさんなら夢の中にだって来てくれるような気がした。僕は微かに笑みを浮かべて、ココさんの胸に頬を寄せる。
とくとくと穏やかな心音に、僕の心臓の音も重なっていくようだった。ココさんに体を擦られて、柔らかな心音と声を聞いているうちに、僕も大分落ち着いてきた。
僕の瞼がとろりと落ちてきたのに気付いたココさんは、小さく笑うと僕の額に優しい口付けをくれる。
「さあ、もうお休み」
ココさんはそう言って、僕を抱き締めたまま横になる。
隣にいるココさんの体の温もりを感じながら、僕は薄らと開いていた瞳を閉じた。
ちょっとでも長く、この温もりを感じていたかったけれど、僕の意識はすぐにとろりとした優しい暗闇の中へと落ちていった。
それはもう、夢さえ見ないほどに深く、優しく、温かい夜のように。
毎度のことながら勝手にNさんの設定をお借りしました。
だってくれっていうから!!ww
そこは酷く寒くて、凍えそうだった。真っ暗で、何も見えなくて、怖かった。
声も出なくて、体も動かすことが出来ない。ただ立っていることしか出来ない。
そんな僕の目の前に、誰よりも大好きな人がいた。そのことに、ほっとしたのも束の間。
『ごめんね』
その時の僕は、その言葉を正確に把握した。
あなたがいなくなってしまう。
それはすとんと、僕の中に事実として、落ちてきた。ただ悲しそうな顔で、ぽつんと「ごめんね」と口にしただけなのに。
凍えていた体が、寒さとは別の意味でぞわりと震えた。
嫌だと思った。凍えてしまうことよりも、真っ暗で何も見えないことよりも、あなたがいなくなってしまうということ、が。
動かない体に必死に鞭打ち、僕は手を伸ばした。それでも、僕の手はあなたのことを掴むことが出来ないし、引き止めることも出来ない。
涙がぼろぼろ零れて、声にならない声を出す。あがく、もがく。
いかないで、いかないで、いかないで。
一人にしないで。おいていかないで。そう言いたかったのに、声は言葉にならない。紡げない。
ココさんは淡く、悲しげに笑うと、暗闇の中へと消えていく。
僕は全部、知っていた。
ココさんがそうと決めた時に、僕はその腕を掴むことも、言葉で情けなく縋ることも、出来ない。
だけど、だけどそれでも。
「……っ!」
ゆさゆさと揺れる体に、僕は暗い水面から浮上していくような感覚を覚えた。そのことに、少しほっとしている自分を見た。
「小松君!」
ココさんの声が、はっきりと耳に届いた。
「……ココ……さん?」
「うん、僕だよ」
僕は布団の中で、手を動かしてみた。それは僕の思った通りに、なんの抵抗もなく動いた。声も出る。だけど、体の末端は酷く冷たいような気がした。
ぼんやりとしていた僕に、ココさんが少し申し訳なさそうに僕を覗き込む。
「……ごめんね、小松君がうなされてたから」
いえ。と、僕は瞳を閉じる。ぽとりと目尻から、涙が零れ落ちた。
ココさんの指先が僕の頬に触れる。涙の痕を辿り、それは僕の頭をゆっくりと撫でた。
「……ごめんなさい。起こしてしまって、」
「そんなこと、いいよ」
気にしなくていい。ココさんは言って、横たわったままの僕の横に体を横たえる。長い腕が僕を包み込んだ。
ぎゅうと力強く抱きしめられて、温かい腕に抱きしめられて、僕はほうと息を吐いた。
「ごめんね、夢の中まで助けにいけなくて」
静かな声が耳を打つ。ココさんの背中に回した手に、力を籠めた。ぎゅうとシャツを握り締めると、ココさんの唇が頭の天辺に押し付けられる。
「ひとりぼっちにして、ごめん」
僕はココさんの言葉に、首を振った。ただの夢だ。
だけど、それがもし、本当になったら。
「ココさんが、いなくなる、ゆめを、みたんです」
「うん?」
「……ひとりに、しないで」
ぽつんと呟いた。いつの間にか、どうしてこんなに好きになってしまったのか。
ココさんがぐっと息を呑み、僕の体を離して体を起こすと、覆い被さってくる。
「君が離せって言ったって、離すもんか」
ココさんの手が、僕の頬を撫でた。温かな手に、視線に、またぽろりと涙が溢れる。
「君は悪い夢を見たんだよ」
僕の目から零れ落ちる涙を、ココさんの唇が掬ってくれる。
頬を掴まれて、鼻梁に口付けられた。そのまま宥めるように、額に、瞼に、目尻に、頬に、顎に、唇にと口付けが何度も何度も落とされる。
「ココさ、」
「大丈夫、大丈夫だよ、小松君」
僕はここにいるだろう?
そう言われて、僕はシーツに包まれたまま抱き起こされて、ココさんの膝の上に乗せられた。ココさんに全身で包むように抱き締められて、僕の強張っていた体から力が抜けていく。
「泣かないで、悲しまないで。怖いなら、夢の中でだって構わない、僕の名前を呼んでくれ」
すぐに助けにいくから。
それが例え、気休めの言葉だとしても、なんだかココさんなら夢の中にだって来てくれるような気がした。僕は微かに笑みを浮かべて、ココさんの胸に頬を寄せる。
とくとくと穏やかな心音に、僕の心臓の音も重なっていくようだった。ココさんに体を擦られて、柔らかな心音と声を聞いているうちに、僕も大分落ち着いてきた。
僕の瞼がとろりと落ちてきたのに気付いたココさんは、小さく笑うと僕の額に優しい口付けをくれる。
「さあ、もうお休み」
ココさんはそう言って、僕を抱き締めたまま横になる。
隣にいるココさんの体の温もりを感じながら、僕は薄らと開いていた瞳を閉じた。
ちょっとでも長く、この温もりを感じていたかったけれど、僕の意識はすぐにとろりとした優しい暗闇の中へと落ちていった。
それはもう、夢さえ見ないほどに深く、優しく、温かい夜のように。
毎度のことながら勝手にNさんの設定をお借りしました。
だってくれっていうから!!ww
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