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文体というか表現というか、多分私にしかわからない変化だと思うんですが、好き作家さんの本が発売されて、読んで滾ってたら、文体にもなんかそれが現れているような(笑)
本多孝好さんって作家さんで、もう彼がデビューした時からずっとファンなんです。
やっぱり文体好きだなーいいなー、こういうの書きたいなー。と、思うのはいいんですが、読み終えてから書き始めた私の話にそれが色濃く出てるような(笑)
人に影響されやすいんです。ね、ほら、陰陽師とかカフェココマとか、そうですし!

もしも「なんかいつもと違う!」と、気付いたような方がいましたら、絶賛悶えてるんだなくらいに思っておいて下さい…w
彼はミステリー作家さんですが、なんていうんでしょう。ほわっと胸が温かくなったり切なくなったりする話が多いんですよね。
最近出た新刊は長編ハードボイルド系ですが、楽しかったです。スピード感があるというか。
あんな綺麗な文体で文章書いてみたいもんです。

さて、続きからは
鴉天狗ココさんと陰陽師小松君
ココさんが通い夫



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「ほら、また、あんた。夜更かししていると、鴉天狗に攫われるよ」
 暗い夜道を提灯を持って歩いていた僕は、不意に聞こえてきたそんな声に足を止めた。
 人の動く気配はするが、もう声は聞こえなさそうだ。僕はゆっくりと足を動かし、再び歩き出す。
 都でのあやかしの評判は、悪い。良いあやかしの方が多いのだけれど、中には勿論、悪さをする者もある。だけどそれは人間だって同じだった。
 目立つのがその悪さをしている一部の者だけだということを僕は説いて回っているのだけれど、あまり賛同は得られたことがない。人にとって、異端の者はやはり、恐ろしいらしかった。
「はぁ……」
 僕はすっかり強張った肩を回し、ゆっくりとした足取りで家の中に入る。
 火のない家の中は暗いけれど、全く見えないわけでもない。月明かりを頼りに家の中へと入り、僕はぐったりと疲れた体を畳の上にうつ伏せに身を横たえた。
 そうしてしまうと、もう起きる気力もない。僕には家族もないから、これを咎める人はいなかった。
 もう、このまま寝てしまおう
 そう思った僕の頬を、ふわりと心地よい風が撫でる。うとうととした僕の頭に、何かが触れた。
「またそんな格好で……風邪引くよ?」
「んんー……」
 僕はごろりと仰向けに体を転がす。薄っすらと瞳を開けば、黒い翼がふるりと震えたのが見えた。
「ご飯は食べたの? 湯浴みは?」
 優しい声の問いかけに、僕は落ちそうになる意識を必死に繋ぎ止めながら、重い首を横に振る。
 目の前の人が、重い溜息を吐く音だけが聞こえた。
「全く……明日説教だからね」
 そんな声と共に、僕の体は浮遊感に包まれる。暖かな腕に抱かれて、僕はもぞりとその人の胸に頭を寄せる。すりすりと頬を押し当てると、また頭上から重い溜息が聞こえてくる。
「……魔性め」
 あやかしを惑わすなんて、本当に大したもんだよ。
 そんな声と、微かな笑い声に、僕はどういう意味だと聞きたかったけれど、揺り篭のようなその人の腕の中があまりにも心地よくて、僕は抗えない睡魔に誘われるがまま、僕の意識は眠りの淵へと落ちていった。

 

 


全くココさんの名前は出てこないけど、ココマ。
 

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