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ブログの過去記事や、サイトへの拍手ありがとうございますー!
嬉しいです(`・ω・´)暑いですけど頑張ります!w
さて、明日はちょっくらトリコと横浜観光ツアーみたいなコラボがあるらしいのでそれにいってきます。楽しみ。

そしてトリコと関係ないですが、十二国記新刊出ましたねーー!
嬉しくて嬉しくて凄い勢いで読んでたんですが、何これ泣ける。電車の中で泣くかと思いました怖いこの本…!さすが主上…!

そして続きは、野狸さんという人が「珈琲飲めない仔狸可愛い。珈琲牛乳を小松特性ブレンドとか言っちゃったりするの可愛い」とかいうのが凄く萌え、で!!
思わず消化させて貰いました。昼の部はね←
夜のミルク編はこれから書いてみます(笑



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「はい、コーヒー」
「にゃっ、ありがとうございますっ!」
 小さな足をぷらぷらさせながらコーヒーを出された小松が、嬉しそうに尻尾を揺らした。
 ココはそんな小松の頭を撫でると、カウンターの奥へと戻っていく。その一連のやり取りに、ココも変わったなと思っていると、仔狸の手にしているコップの中身にふと違和感を覚えて覗き込んで見た。
 小松の小さな手の中にある子供用マグカップの中では、茶色い液体がゆらゆらと揺れている。どうやら本当に珈琲のようだ。
「……お前、珈琲なんか飲んでんの?」
 仔狸なんだからせいぜいがミルクくらいだろうと思っていたから、その中身を意外に思った俺は横に座って嬉しそうに珈琲に口をつける仔狸を見下ろした。
「そうですっ! 僕だって珈琲飲めるようになったんですよっ!」
 仔狸は少し誇らしげにつんと上を向いて、ちょっとだけ自慢するような表情になる。一口またそれを飲んだ小松は、本当に美味しいといったように顔を綻ばせている。少し前まで珈琲を飲みたいとせがんでは口にする度に苦い苦いと顔を顰めていた癖に、それが今は美味しいと言ってこくこくと飲んでいる姿に、俺の違和感は益々強く鳴るばかりだ。
 不思議に思っていた俺はふと、鼻を掠めた甘い香りに気付く。それは当然のように、小松の持っているマグカップからしてくる。
「……甘い匂いがすんな」
「……! あげませんよっ!」
 ハッとしたように顔をあげた小松が、俺から守るように小さな両手でマグカップを守るように囲む。俺は苦笑を浮かべて、その小さな頭をぐりぐりと撫で回した。
「別にいらねえよ」
「にゃあっ! やめてくださいっ!」
 俺の手を小さな手で払いのけて、仔狸は苦労しながら椅子から降りると、机の上に置いておいたマグカップを大事そうに手にして、一つ向こう側のカウンターへと座り直す。その姿に、俺は笑みを噛み殺した。
 むっとしたような小松は、それでもつんとしたままマグカップに口をつける。
「それ、珈琲牛乳か」
 だったら、お子ちゃまなお前が飲めるのも納得だな。
 ぽつりと呟くと、小松はむっとしたように俺を睨んでくる。
「違いますー! 僕専用ブレンドですもんっ!」
 僕専用ブレンド。俺はその言葉に、ついに我慢出来なくて噴き出した。
 仔狸は俺の態度にかちんときたらしい。すっかり機嫌を損ねた仔狸は、俺に背中を向けてくぴくぴとまた珈琲に口をつけた。
「随分と騒がしいね」
「ココさんっ!」
 奥のキッチンの片付けが終わったのだろう。現れたココに、小松はぱあっと顔を輝かせた。
「小松専用ブレンドについて、話してたんだよ」
「ふうん?」
 俺はくっくと笑う。概ね、小松が珈琲を飲みたい飲みたいとしては苦い苦いと顔を顰めるのに、ココが耐えられなくなったのだろう。ミルクと砂糖たっぷりの珈琲牛乳。
「酷いんですよ、ココさん! トリコさんがこの珈琲のこと、馬鹿にするんです!」
「馬鹿にしてはいねえだろ」
 ココは俺と小松の間に開いていた一つの椅子に座る。店内は広く、誰もいないにも関わらず、俺らはみっちりと座っていた。
「酷い野犬だね。小松君はもう珈琲も飲める大人なのにね?」
「野犬ってお前……仮にも小松を見てやってたってのによぉ」
「僕がトリコさんを悪さしないように見てあげてたんですっ!」
 ココは小松の頭を撫でて、顎をくすぐる。気持ちよさそうに瞳を細めて、甘えるようにココの手に擦り寄る様は子供としか言いようがない。
「うん、ありがとう、小松君。トリコが摘み食いしないように、見てくれてたんだね」
「はいっ!」
「酷い言われようだな、おい!」
 小松が嬉しそうにはにかむ。ココも優しく瞳を細めて、優しく小松の頭を撫で続けていた。
「ったく、甘ったるい顔してんじゃねえよ」
「そんなこと言っていいのか? 折角お前の好物のイノシシ豚の肉、分けてやろうと思ったのに」
「すいませんでした!」
 小松を見る目とは打って変わって、冷ややかに俺に視線を流したココを手を合わせて拝む。小松がココの背後でくすくすと笑っていた。
「裏の貯蔵庫に入れておいたから、後は勝手に持って行け。だけど、他の食材に手を出したら……」
「わかってんよ! サンキュー、ココ!」
 ニカッと笑みを浮かべると、仕方ないなという表情でココは肩を竦めた。仔狸はマグカップに入っていた珈琲牛乳……小松特性ブレンドの珈琲を飲み終えると、苦労しながら椅子から降りて、マグカップを手に持った。
「ご馳走様でした、ココさん!」
「うん、お粗末さまでした。美味しかった?」
「はいっ! とっても美味しかったです! 僕、これ片付けてきますね」
 うん。と、ココは言って、ぱたぱたとキッチンへと消えていく小松の背中を見送る。同じようにその小さな背中を見送ると、冷ややかな視線が俺の背中に突き刺さってきた。
「……あげないよ」
「いらねえよ!」
 さっきやったばかりのような気がするそのやり取り。俺は呆れたようにココにそう言い返した。けれども突き刺さる視線は未だどこか疑っているようなそれだ。
「……ったく、お前がなんか変な気を起こさねえうちに、俺はとっとと帰るよ」
「あぁ、そうしてくれ。小松君も、後は寝るだけだからね」
 それなのに珈琲飲ませていいのかよ。そう言うと、珈琲っぽくしているだけで、中身は殆ど牛乳だから大丈夫だと言ってくる。やっぱり珈琲牛乳じゃねえかよ。そう言うと、ココはくすくすと笑いながら小松の後を追う。
「違うって言ってるだろ、小松君特性ブレンドだよ」
「……さいですか」
 どこまでこいつは小松に甘くなるんだろうか。不意にそんな考えが頭を過った。
 けれど、余計な詮索はすぐに止めにすることにした。馬に……この場合狐だろうか。狐に蹴られるのだけはごめんだからな。
 俺は肩を竦めると、ココに「じゃあな」と言って、ココとは反対側の、店の出口へと向かう。
 店の扉を締める間際に見たココは、厨房の入り口で仔狸を抱き上げていた。仔狸が甘えるように頬を擦り寄せるのを見て、俺は表情を緩める。
 体がほんわりと温かくなるような気持ちを抱きながら、俺はそのまま静かに扉を締めた。
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