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「はい、出来たよ」
「ありがとうこざいますっ、ココさんっ!」
仔狸の衣服を整えてやると、目をきらきらとさせた仔狸が嬉しそうに僕に擦り寄った。尻尾は上機嫌にゆらゆらと揺れているし、その体から見える電磁波もとても嬉しそうな色を帯びている。
そんな姿に頬笑み、僕は仔狸を抱え上げた。
「そんなに店で働くことが、嬉しいの?」
「ココさんのお手伝いをするんですっ! ぼく、頑張りますっ!」
むんっと力瘤を作るような仕草をする仔狸に笑いながら、僕は店に備え付けられた椅子の上に座る。机の上には、マグカップが二つ置かれていた。
一つにはココア、一つには珈琲。仔狸にココアの入った容器を渡すと、嬉しそうにそれを受け取った。
「にゃっ、ありがとうございますっ!」
「熱いから気をつけてね」
はいっ! と、また意気揚々と返事をした仔狸が、耳と尻尾をぱたつかせてマグカップにふうふうと息を吹き掛けた。ちびちびと飲みながらも、その顔には嬉しそうな表情が広がっていく。やはり子供にはココアが一番だなと、その仕草を微笑ましく思いながら、僕も自身のカップに口をつける。
一口飲めば、珈琲の香ばしい香りが鼻をくすぐる。ふうと一息ついて机の上にマグカップを戻すと、仔狸が興味深そうに僕のマグカップを覗いていた。
「……どうかした?」
「これ、美味しいですか?」
お子ちゃまにはまだ早いよ。そう言って笑ってやれば、仔狸の頬が膨らんだ。その餅のようにぷっくりと膨れた頬を掴んで空気を抜いてやれば、むっとしたように仔狸の眉間に皺が寄る。
「子供扱いしないで下さい!!」
「子供扱いも何も、君は子供でしょうに」
何を言っているの。と、今度はおでこを突く。むっとしたような仔狸は、僕のカップを手に持つと、僕が止める間もなく、くぴりと一口それを口に含んだ。
あらら。と、僕がそれを見つめること数秒、仔狸の顔にはみるみる渋い表情が浮かび、マグカップを僕に返すと舌を出していた。
その表情の、愛らしさと言ったら。僕は思わず声を立てて笑う。仔狸は怒ったように、尻尾をぶわりと逆立たせた。
「笑うなんて、ひどいですっ!」
「ふ、ふふっ、仕方ないじゃない。君が意地を張るからいけないんだよ」
大人しく子供はココアを飲んでればいいんだよ。と、言うと、またむうと頬を膨らませる子供。
「砂糖もミルクも何も入ってなかったんだもの、苦かったでしょ。あとで休憩の時に、昨日作った美味しいケーキを出してあげるから」
頭を撫でて、顎をくすぐれば仔狸は途端に気持よさそうな表情を浮かべる。僕の言葉にぴんと尻尾を立てた仔狸は、ぱちぱちと二、三度瞬きをした後、「本当ですか!?」と、嬉しそうな顔をあげる。
「うん、昨日の作ったケーキは力作だよ。苺とベリーも、小松君が良いものを選んできてくれたからね、良い味が出てると思うよ」
褒めてやると、仔狸は嬉しそうに破顔する。先程の苦み以上に甘いその表情に笑って、僕は仔狸の頭を優しく撫でてやった。
「いつも頑張ってくれる小松君に、ご褒美だね」
「今度は僕も一緒に作りたいですっ!」
「また? 君は本当に料理が好きだねえ」
はいっ! と、仔狸はさっきまで不機嫌だったことすら忘れたように、嬉しそうな表情で頷いた。
将来は料理人かな。と、僕が呟くと「ココさんのカフェで働きたいですっ!」と、これまた嬉しいことを言ってくれる。
僕は笑って「楽しみにしているよ」と告げると、仔狸の額に優しくキスを落とした。
「ありがとうこざいますっ、ココさんっ!」
仔狸の衣服を整えてやると、目をきらきらとさせた仔狸が嬉しそうに僕に擦り寄った。尻尾は上機嫌にゆらゆらと揺れているし、その体から見える電磁波もとても嬉しそうな色を帯びている。
そんな姿に頬笑み、僕は仔狸を抱え上げた。
「そんなに店で働くことが、嬉しいの?」
「ココさんのお手伝いをするんですっ! ぼく、頑張りますっ!」
むんっと力瘤を作るような仕草をする仔狸に笑いながら、僕は店に備え付けられた椅子の上に座る。机の上には、マグカップが二つ置かれていた。
一つにはココア、一つには珈琲。仔狸にココアの入った容器を渡すと、嬉しそうにそれを受け取った。
「にゃっ、ありがとうございますっ!」
「熱いから気をつけてね」
はいっ! と、また意気揚々と返事をした仔狸が、耳と尻尾をぱたつかせてマグカップにふうふうと息を吹き掛けた。ちびちびと飲みながらも、その顔には嬉しそうな表情が広がっていく。やはり子供にはココアが一番だなと、その仕草を微笑ましく思いながら、僕も自身のカップに口をつける。
一口飲めば、珈琲の香ばしい香りが鼻をくすぐる。ふうと一息ついて机の上にマグカップを戻すと、仔狸が興味深そうに僕のマグカップを覗いていた。
「……どうかした?」
「これ、美味しいですか?」
お子ちゃまにはまだ早いよ。そう言って笑ってやれば、仔狸の頬が膨らんだ。その餅のようにぷっくりと膨れた頬を掴んで空気を抜いてやれば、むっとしたように仔狸の眉間に皺が寄る。
「子供扱いしないで下さい!!」
「子供扱いも何も、君は子供でしょうに」
何を言っているの。と、今度はおでこを突く。むっとしたような仔狸は、僕のカップを手に持つと、僕が止める間もなく、くぴりと一口それを口に含んだ。
あらら。と、僕がそれを見つめること数秒、仔狸の顔にはみるみる渋い表情が浮かび、マグカップを僕に返すと舌を出していた。
その表情の、愛らしさと言ったら。僕は思わず声を立てて笑う。仔狸は怒ったように、尻尾をぶわりと逆立たせた。
「笑うなんて、ひどいですっ!」
「ふ、ふふっ、仕方ないじゃない。君が意地を張るからいけないんだよ」
大人しく子供はココアを飲んでればいいんだよ。と、言うと、またむうと頬を膨らませる子供。
「砂糖もミルクも何も入ってなかったんだもの、苦かったでしょ。あとで休憩の時に、昨日作った美味しいケーキを出してあげるから」
頭を撫でて、顎をくすぐれば仔狸は途端に気持よさそうな表情を浮かべる。僕の言葉にぴんと尻尾を立てた仔狸は、ぱちぱちと二、三度瞬きをした後、「本当ですか!?」と、嬉しそうな顔をあげる。
「うん、昨日の作ったケーキは力作だよ。苺とベリーも、小松君が良いものを選んできてくれたからね、良い味が出てると思うよ」
褒めてやると、仔狸は嬉しそうに破顔する。先程の苦み以上に甘いその表情に笑って、僕は仔狸の頭を優しく撫でてやった。
「いつも頑張ってくれる小松君に、ご褒美だね」
「今度は僕も一緒に作りたいですっ!」
「また? 君は本当に料理が好きだねえ」
はいっ! と、仔狸はさっきまで不機嫌だったことすら忘れたように、嬉しそうな表情で頷いた。
将来は料理人かな。と、僕が呟くと「ココさんのカフェで働きたいですっ!」と、これまた嬉しいことを言ってくれる。
僕は笑って「楽しみにしているよ」と告げると、仔狸の額に優しくキスを落とした。
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