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仔狸小松君とココさんのお話


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「にゃあっ、い、いた、ぁ!」
「ご、ごめん……!
 今までとても気持ちよさそうにしていた小松君が、高い声で悲鳴をあげた。息も荒く、目には涙を浮かべて僕を見上げていた。僕はどぎまぎしながら小松君の頭を落ち着かせるように撫でて、目尻の涙を拭ってやる。ひくっとしゃくりあげた小松君は、僕の手に甘えるように頭を擦り寄せた。
「ごめんね、あまり痛くないようにしようとはしてるんだけど……」
「も、もっとゆっくり……して、下さい」
 僕は小松君の言葉に頷いた。痛くなければただ気持ちのよい行為だと、小さな頃から教え込んではいる行為ではあるが、如何せん今日はそうもいかなかった。
「でも、これは小松君もいけないんだよ? 僕は言ったよね、そっちいっちゃいけないって。どうして僕の言葉を無視しちゃったの?」
「だ、だってぇ……」
 小松君は涙目で僕を見上げる。ぺたんと耳も垂れて、本当に後悔している姿はとても可愛らしくて、ついつい絆されそうになってしまう。だけど駄目だと心を鬼にして、小松君の言葉を待った。小松君はもごもごと口を動かすと、視線を左右に逸らし、うーと唸ってまた僕を涙目で見上げた。
「……花があったんです」
「花?」
「……きれいな花があって、ココさんに見てほしかったんです」
 くすんくすんと小松君は鼻を鳴らす。ぽろぽろとその大きな瞳から涙が零れ落ちて、僕はぐっと息を詰まらせた。思わず抱き締めそうになった僕は一度上を向いて自分を落ち着かせると、ゆっくりと小松君に向き直った。
「そういう時は、今度から僕を呼んでくれればいいんだよ」
「う、だってココさん、最近忙しそうだった、から……」
 小松君はそこで言葉を噤んだ。小松君の心の中にある本音に気付いて、僕は小松君の体を自身の膝の上に乗せると、その小さな体を腕に閉じ込めた。
「ごめんね」
「……っ! ココさんは悪くないんです! ぼ、僕が、勝手に!」
 うえええと、声をあげて泣く小松君に苦笑を浮かべて、僕はその涙から零れる涙を唇で掬う。少し大きくなったとはいえ、まだまだ可愛い仔狸だ。
「よしよし、ごめんね。もう大丈夫だよ、全部取れたから」
「ほ、ほんとですか!?」
「うん、よく頑張ったね」
 傍らに積み上げられた雑草の一種。いわゆるひっつきむしと一般的には呼ばれる雑草のそれ。
 あの茂みに入ってはいけないと言ったのは、この雑草が群生していたからだったのだけれど、小松君はやっぱりそれをよく理解していなかった。
 案の定、帰ってきた小松君の尻尾にはその雑草が大量にくっついていたのが今朝の話。ゆっくりゆっくりと取ってあげてはいたのだけど、それでもやっぱり毛は抜ける。
 敏感な部分でもあるらしいそこの毛が抜けるのは、小松君にとってとても痛い行為らしかった。僕はそれをティッシュで包むと、厳重にゴミ箱の中へと捨てる。
「ほら、もう大丈夫。ちょっとボサボサになっちゃったから、今度はブラッシングしようか」
「うぅぅぅ」
 ぐすぐすと泣く小松君が、僕の胸に抱きついてくる。よほど痛かったらしい。よしよしと頭を撫でてやりながら、甘えてくる仔狸に僕は思わず口端を緩めてしまうのだった。






えちぃなことしてるココマを思った人は私と一緒にココマ病棟に行くべきだと思う(笑
引っ掛かる人いたらバンザーイ!です!w
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