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いつも拍手ありがとうございます!!
増えろじわじわ仔狸とリーマンの波!ww

色々考えてたら可愛すぎてもう悶え死んだ。
お狐様と仔狸小松とか可愛すぎる気しかしないよね!!

あ、獣化苦手な方はお気をつけて下さいませ。漂う今更感ですけども。
私のココさんはどうしても小松君に冷たくなれない……!w
あ、続きに小話と、私の絵もひっそり置きました


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 困ったものだと僕は森の中を歩く。後ろから、少し楽しそうな小さな声が聞こえた。
「にゃっ、にゃっ!」
 狸らしからぬ声が聞こえるのを背後に、僕はゆったりとその歩幅に合わせて歩く。後ろでは僕の揺れる尻尾に飛びつこうとしている仔狸一匹従えながら。
「……君も懲りないねえ」
 前に一度だけ、不覚を取られて尻尾を掴まれた時に走ったあのなんともいえない感じと言ったらない。そもそも僕の尻尾に飛びつこうとする奴なんて、この森ではこの仔くらいなんじゃなかろうか。と、僕はまた尻尾を揺らした。
 この森で僕に構う者なんか、誰もいない。元々この森でない仔だからかはわからないが、仔狸である彼、小松君はそんなことを気に留めもしないようだ。
「君は僕が怖くないの?」
「どうしてぼくがココさんを怖がるんですか?」
 森の中でしくしくと泣いていた仔狸。なんとなく気になって声を掛けたのが事の発端だ。普段はそんなことしないというのに、あの時の僕の行動はただの気紛れとしか言いようがない。
 それから何故か、僕はこの仔を飼っている。放っておけないと言ってもいいかもしれない。
「……君には言っても、わからないだろうね」
「?」
 仔狸は小首を傾げ、僕を不思議そうに見上げる。僕はまたさくさくと歩き出した。それからついてくる、とてとてとした小さな足音。まるで鳥の雛みたいなもんだなと僕はまたゆらりと尻尾を揺らす。
「にゃっ?!」
 何かに躓いたらしい小松君が、べしゃっと転ぶ音がした。振り返ると、土をべったりとその服と顔につけ、倒れた姿勢のまま「にゃー」と鳴き声をあげた。とても狸の鳴き声とは思えないけれど、僕は小松君をじっと見降ろした。
「……置いていくよ?」
「にゃっ、やだ!」
 小松君はがばと体を起こし、浮かんでいた涙をごしと拭った。僕についてくる条件、泣かないこと、僕の足を引っ張らないこと。拾った時からずっと、小松君は仔狸であるにも関わらず、ちゃんとそれを守っていた。
「い、いま立ちますから! ま、待って……っ!」
 小松君が呻いた。僕は歩きだそうとした足を踏み止め、小松君を振り返る。その足首を、僕は目を細めてそれを見つめた。足を捻ってしまったようだ。
「……ぅっ!」
 小松君は歩きだそうとして、またその勢いのまま倒れ込む。僕は手を伸ばして、その体を抱き留め、抱き上げた。
「ココさ?」
「無茶をするね」
 僕は着物の袖で、小松君の顔を拭う。土を払ってやれば、すぐにうりゅっと小松君の目に涙が浮かんだ。
「だ、だって置いて行かれちゃう、し!」
「……置いてかないよ」
 全く本当に困ったものだと僕は小松君の体を抱えて、また歩き出した。小松君がむっと頬を膨らませた。
「だって、置いてくってさっき言いました!」
「冗談だよ。僕が一度でも君を置いていったこと、ある?」
「最近はないですけど、昔は結構ありましたよ!」
「昔の話だろ?」
 僕はくっくと笑いながら歩く。近くにある綺麗な水が流れている場所までくると、僕は小松君をそこに降ろして、鎮痛剤効果のある葉を毟るとそれを握り潰した。爽やかな香りがつんと鼻をつく。僕はそれを石の上に座らせた小松君の足首に擦り付けた。
「ぅにゃっ!」
「我慢」
 僕が言うと、ぐっと小松君は唇を噛み締める。ちょっとすうすうして痛いかもしれないけど、仕方ない。
「ちょっと一休みしようか」
「すいません……」
 小松君がぺたりと耳を垂らした。僕はその体を抱え上げると、心地良い木陰のしたに腰を降ろした。川の流れる音と、風が木々を揺らす音がとても気持ち良かった。
「僕が休みたかっただけだよ」
 ここは気持ちいいからね。と、言いながら瞳を閉じると、小松君がじっと僕を見上げるのがわかった。仔狸はそそっかしいから、僕は彼がどこかに行かないようにしっかりと抱きしめる。その手に触れた仔狸の尻尾が、少し嬉しうに揺れる。
「へへ、大好きです、ココさん」
「……そう」
 僕は小松君の頭をぽんぽんと撫でてやる。そうすると、まだ仔狸である小松君は大きな欠伸を漏らした。僕の胸に頭を擦り寄せた小松君は、そのままうとうとと眠り始める。
 僕は口端を緩めると、そんな小さな愛らしい寝息を聞きながら、ゆっくりと意識を手放した。





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