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下のカフェココマ、ちょっと話が飛んだりしてるように感じられたのでちょこっと手直ししました。
このココマのジレッタサ凄く好き。


さて、続きより、学生ココマ ジャージ着用 R-18予定
また勝手に手ブロのN氏の設定を借りてきてしまった

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 ごし、と僕は唇を拭う。いや、別に、ただ、なんとなく。
 目の前には学校一の美形だと噂される、この学校の四天王の一人、ココさん。
 教師にさえ一目置かれるその人は今、本当に申し訳なさそうに手を合わせて、頭を下げた。
「ご、ごめんね、小松君……」
「……っ! い、いえ! だい、大丈夫……!」
 四天王であるココさんに頭を下げられるなんて、多分普段学生生活を送っていたらまず起こり得ないことだ。これもそれも全ては元々、僕が悪いのだけど、ココさんはそれには気付いていないかのように振舞っている。
 屈んでいたココさんの所へ、躓いた僕がうっかり倒れ込んでしまったものだから。ふにりと唇に当たった柔らかな感触は、つまり、だから、うん。
 だから、つまり、事故だった。
 あの後からココさんは怒られた子犬のようにしょんぼりとしたまま、謝りっぱなしだ。
 優男、と言われるだけはある。僕は端整な顔を見上げながら、手を振った。
「も、もういいですよっ! 大体ぶつかったの僕だし! 悪いの僕ですから!」
「……でも、」
 ココさんは相変わらず項垂れている。その頬が僅かに紅いのは、僕の気のせいだろうか。
「小松君の初キスを奪ってしまって」
 ココさんは口元を抑えて、再び「ごめんね」と呟いた。僕はその言葉に「え?」と、声をあげた。
「ん?」と、顔をあげたココさんの顔をまじまじと見ながら、僕はぽつんと呟いた。
「初キスじゃないですよ、僕」
「うん、知ってる。そうだよね、初め…………!?」
 ココさんの目が驚愕に見開かれる。なんですか、そんなに意外ですか、どーせ不細工ですよ。そう文句を垂れる前に、恐ろしい形相のココさんが僕の肩を掴み、がくがくと揺さぶってくる。
「あああ、あ、相手は誰?!」
 正直、今のココさんは学校一格好良いと言われている人とは別人なのではと思うくらい、怖い。
 がくがくと揺さぶられながら、僕は思い出したくもないその初キスの相手を思い浮かべて、げんなりとした表情でココさんに告げた。
「トリコさんですよ」
 ココさんの動きがぴたりと止まる。
 その顔が一瞬、無表情になったかと思えば、すぐにそれは女子が見たら卒倒するであろう笑みに変わった。
「……ちょっとトリコの所にいってくるね」
「ちょっ、何する気ですか!」
 その笑みは、笑っているのに笑っていない、どこか不吉な感じがした。これは多分、トリコさんの命が危ないというやつだろう。
 いくらなんでも僕のせいで誰かが死んでしまうなんてのは寝覚めが悪い。や、トリコさんならきっと逃げ切れるだろうから大丈夫だとは思うけれど、念のためだ、念のため。
「そそそ、それにっ! ほら、体育倉庫にこのボールとか戻さないとですよっ! 僕一人じゃ無理なんで、手伝って下さいよ!」
 僕はココさんの袖を引っ張って、顔を見上げた。ココさんはぐっと何かを呑みこむと、渋々といったように僕に付き合ってくれる気になったようだった。
 それから、それまでの会話が嘘のように、二人の間には沈黙が落ちた。からからとボールの入った台車のようなそれを押しながら、僕は何か話題はないものかと辺りを物色したけれど、何もなかった。
 取り繕ったような間はどこか痛くて、僕はココさんに頭を下げた。
「……あー、でも、ココさん、すいませんでした」
 体育倉庫に入り、僕はなんとか会話をしようとそんな言葉を口にした。何かを考えていたらしいココさんは、きょとんとしたような顔をしたあと「何が?」と、首を傾げる。
 僕はボールを元の場所に戻しながら、言い難いそれに苦笑を浮かべる。
「……その、僕みたいなのと、事故ちゅー……」
「……あぁ、」
 ココさんは言いながら、体育倉庫室の入口の戸を閉めた。重々しい音を立てて、それはゆっくりと、その口を閉じていく。
「……ココさん?」
「ラッキーだよね」
「はは、そうですよね……は?」
 がしゃん、と音を立ててそこは、口を真一文字のように閉じてしまった。閉ざされた空間に軽く息苦しささえ覚えた僕は、目の前にいるココさんを見上げて体を震わせる。
「……初めてが、好きな子でさ」
 ココさんの言葉に、僕は目を見開いた。ゆっくりと近付いてきたココさんは、困ったような笑みを浮かべながら、僕の顎に手を掛ける。
 頭は正常に動いているのに、体は脳からの信号を拒絶しているかのように動かなかった。
 とても綺麗な顔が、少し苦しそうに頬笑みながら、僕に近付いてくる。
「わからない?」
 大きな手が僕の耳裏を撫でた。ぴくんと体は反応したけれど、頭の中で逃げろと叫ぶ僕がいる。だけど体は動かない。まるでココさんに絡め取られたかのよう、に。
「……僕は初めて、だったよ」
 何が、とは聞くまでもないだろう。僕はその意外な事実に、目を見開いた。
「あの、ココさ……」
「初めてが事故ってのも、あんまりだよね」
 それは、確かにそうかもしれない。
 僕は肯定も否定もすることなく、ココさんを見上げた。それをどう受け取ったのかは知らないが、ココさんは緊張したようにふうと息を吐き出した。
「だからね、やり直させて貰っても、良いかな?」
 何を、なんて聞くのも野暮だろう。僕が目を見開いて「え?」と、呟いたのと同時に、ココさんの唇が僕のそこに触れる。
 柔らかい唇が、ふにりと押し付けられた。それから、べろりと唇を舐められる。
「ん、んんっ?!」
 ぴりり、と流れる電流のようなもの。
 僕は体を震わせて、思わずココさんのジャージを掴んだけれど、ココさんの手にそれを逆に絡め取られてしまった。
「こ、ココさ……っ、んんっ」
 開いた口の中に、何かが入りこんでくる。ぬろりとしたそれが口腔内を蹂躙していく感覚に、僕は戸惑い、逃げようと腰体を引いた。
「ふぁ、っ!」
 目を開けば、端整な顔がそこにある。怜悧な視線が、じっと僕を見つめていた。
「……っ、ん、ふぁ!?」
 体を引き寄せられて、抱き上げられる。ふわりと降ろされたのは、マットの上だった。僕に圧し掛かるココさんの額に、じわりと汗が滲んでいるのが見えた。
「こ、ココ、さ……っ、」
「好きだ、小松君」
 頬を撫でられて、僕の額にココさんの唇が触れる。その体は、常には信じられない程に僕には熱く感じられた。その熱っぽい眼差しに見つめられて、僕の胸はどくどくと鼓動を速めていく。男同士なんてあり得ないと思うのが普通の筈なのに、僕の体は決してココさんを拒絶していない。
「……ココ、さん」
「お願い、一度だけでいいから、流されて」
 答えを出す前に、ココさんはジャージをばさりと脱ぎ捨てた。体操着の上からでもわかる、男らしい鍛えられた肉体に、僕はごくりと生唾を飲み込む。
「ココさん……」
「何も言わないで。今は、まだ」
 秘め事のように囁いて、ココさんの唇が再び僕の唇を塞いだ。一気に与えられた情報に、僕の頭の中は既にパンクしそうだった。
 僕はココさんの首に、縋りつくように腕を回した。ココさんの動きが一瞬止まり、やがてすぐに、それ以上の激しさでもって僕の口の中を蹂躙していく。
「……ごめんね、小松君」
 君の優しさに、つけ込むような真似をして。
 ココさんは切なさそうにそう言うと、言葉を紡ごうとした僕の唇を塞ぐ。
 一体今言葉を発したことで何が変わるのか、僕にはわからない。だけど。
 切なさそうに、悲しそうにそんなことを言うココさんを見ていると、どうしようもなく、悲しかった。
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