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若干ココさんが変態臭いというかなんというか。
基本はほのぼのです。


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 ふと目が覚める。辺りはまだ暗く、夜が明けていないことを暗に告げていた。夢心地のような一時。腕の中の温もりを感じながら、再び目を閉じようとした、その時。
「ふにゅ、にゅう」
 布団の中で丸くなっている小松君から、そんな寝言のような寝息が聞こえてきた。僕はくすりとその腕の中の小さな狸を見下ろす。耳がぴくぴくと動いて、口元がもごもご動いていた。多分、何か美味しいものでも食べている夢でも見ているのだろう。
 僕は笑って、その柔らかな頬を人差し指で突いてみた。眉間に皺を寄せた仔狸は、もぞりと動いて身じろいだ。けれど起きる気配はない。
 僕は飽きることなくその頬を突く。強すぎず、弱すぎず。
「んにゅう」
 小さな小さな手に、頬を突く手が捕まった。弱々しい力ではあったけれど、僕はその手をちょいちょいと動かして、その小さな掌をくすぐる。
「にゃむ」
「わっ」
 小松君は僕の手を引き寄せると、かぷりと僕の指先に噛みついた。勿論、甘噛みよりも更に弱々しい力で、だ。
 小松君確かめるように歯を僕の指先に当てる。仔狸らしい、少し鋭い歯が僕の皮膚を引っ掻くように撫でていった。小さな舌が味を確かめるように僕の指先を舐めては首を傾げるように眉間に皺を寄せていく。
「にゃう」
 猫みたいな声をあげた小松君の口腔内を、僕は指先でくすぐってみた。小さな舌を撫でて、歯列をなぞってみる。小松君がくすぐったそうに、顔を背けた。
「あぁ、零れちゃった」
 その小さな口の端から、唾液がとろりと零れ落ちた。小松君の口腔内から指先を引き抜き、僕はその口端に垂れた唾液を近くにあったティッシュで拭ってやる。
 指先も一緒に拭いた僕は、今度は枕を食べ始めている小松君に苦笑を浮かべ、その体を抱きしめる。
 仔狸は僕の温もりに気付いたのか、擦り寄るように頭を僕の胸元に擦りつけると、また小さく丸まってしまった。
「ココしゃぁ」
「おやすみ、小松君」
 全く、とんでもない悪戯をしてくれたものだよ。と、僕は小松君の額に口付ける。ふにゃりと笑った小松君の幸せなそうな顔に、幸せな気持ちと複雑な気持ちを貰った僕は、静かに瞳を閉じた。
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