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わー!拍手いっぱいありがとうございますー!
嬉しいです!
昨日までのリクエスト分は全て記載済みです。
当初予想していた人数よりもかなり多くの方にリクエストを頂けていて嬉しいです!
一人でもいたらいい方かなと思っていたの、で……!←
まだまだ受け付けていますのでこの機会にぜひリクエストして下さいー(*´ω`*)
時間は掛かるかもしれませんが、精一杯がんばります。


それから続きより十二国記パロ。
やっと進んだ!w

※原作忠実パロではありません

※設定色々捏造中です。
麒麟が肉食べたりしますよ。

苦手な方はご覧にならないようにして下さい。


拍手


「あの、今回の目的はなんなんですか?」
 日が出る前に起こされて、小松は眠い目を擦りながら今度はキッスに乗せて貰った。朝の冷たい風が、眠気覚ましには丁度いい。
「今回はフグ鯨だよ」
「フグ鯨?」
 うん。と、ココが笑った。小松がキッスから落ちないようにしながら、小松が寒くないようにとその体をマントで包む。ココはいつも通り優しい。けれど、その表情はどこか緊張しているようにも小松には思えた。
「ココさん? 大丈夫ですか?」
「ん? あぁ……久々の狩りだから、ちょっと緊張していてね」
 久々? 小松の問いに、ココはゆっくりと頷く。
「……狩りするの、止めてたんだ」
 その声の感情のなさに、小松は驚いた。そんなココの声は、初めて聞いた。
「え……どうして、ですか?」
「あ、ほら、小松君。日が昇るよ」
 つい、とその指先が山の奥を指差した。日の光が辺りを照らし出していくのを目を細めて小松は見守る。その朝日に照らされた横顔を見上げながら、小松は何も言えなくなってしまった。ココがその話題に触れられたくないことを、肌で感じてしまった。
 どうして?
 感じる疑問は声に出されることはなく、朝焼けの中に吸い込まれるようにして消えていく。小松はそれ以上、ココに問うことは出来ない。もやもやとした何かを胸に抱えたまま、小松は黙り込んだ。
「ほら、ついたよ。まだ寝惚けてる?」
 そんな小松の耳に、ココの声が落ちる。キッスが下降をし始めて、ココの手が考え事をしていた小松の肩をぽんぽんと叩いた。小松は慌てて、背筋を正す。
「い、いえ! ちょっと考え事をしてただけです」
「また悩み事かい?」
「いいえ、大丈夫です。本当になんでもないことなので」
 ココの言葉に、小松は苦笑を浮かべる。何かあればすぐに話せと心配するココに、小松は頷いた。
 結構深刻だと思っていた悩み事を呆気なく吹き飛ばされたのはつい先日のことだ。それを思い出すと、ちょっと照れ臭い。
「さて、疲れたろう、キッス。お疲れ様」
 地上につくと、まずココはキッスに労いの言葉を掛けた。トリコも同様にテリーへと声を掛けているようだ。
 小松は二人から離れないまま、辺りをきょろりと見渡す。ふと、ぽっかりと開いた洞窟のような穴を見つけた。
「ココさん、ココさん!」
 小松はココに駆け寄り、首を傾げたココの裾を掴んで、その穴を指差した。
「あの穴はなんでしょう?」
「あそこがフグ鯨がいる所だよ」
 ココはゆっくりとその穴へと近付いていく。動いたココに気付いたトリコも、同じようにココの後ろに付き従った。
 ココがその穴を覗き込み、トリコはその穴から何か臭うのか、眉間に皺を寄せて中を伺っている。
「くせえな。何かいる」
「……そうみたいだね、前に来た時はこんな不穏な気配ではなかった。おっと、小松君、あんまり覗き込むと転がり落ちてしまうよ」
「にゃっ!?」
 ココが穴の中を文字通り穴が開くほど覗いていた小松の襟首を、子猫の首を掴むように掴んだ。
 トリコがそれを見て、「だっせえ!」とけたけたと笑う。
「にゃー! 落ちませんよ!」
「どうだか。さっき同じことを言ってキッスの上から転がり落ちそうになったのは、誰だっけ?」
 小松は呻き声をあげる。トリコがクックとまだ声を立てて笑っていた。
 頬を膨らませ、不満そうにしながらも、小松はすっかり敬語が取れた二人の言葉を内心嬉しく思っていた。
 穴の中を確認するココの後ろに回り、小松はココの手を握りながら穴の中を覗くことにした。気付いたココが、小さく笑って小松の手を握り返す。小松が覗き見たその穴の中は、とても深い所まで繋がっているような気がした。
 落ちれば本当にどこまでも落ちてしまいそうな、深い闇。軽い不安が唐突に小松を襲った。ぎゅっと強くココの手を握る手に力を籠めると、それに気付いたココが小松に柔らかい笑みを浮かべた。
「怖いかい? それなら、ここには入らないよ」
「こ、怖くないですっ!」
 頬を膨らませれば、トリコが笑って小松の頭を撫でた。トリコは穴の大きさを見た後、二匹の騎獣を見て首裏を掻く。
「キッスとテリーは、入れそうにねえな」
 二匹が不安気に、トリコとココを見つめた。ココもトリコも、二匹の頭を労わるように撫でてやる。二匹は甘えるように、それぞれの主人に頭を擦り付けた。
「ま、お前らなら黄海は庭みてえなもんだろ。俺らも、やばかったらすぐに引き返してくるからさ」
 テリーとキッスが、答えるように鳴いた。その返事に笑ったトリコは、再び穴を振り返るとゆっくりと肩を回す。
「うっし、じゃあ、行くか?」
 トリコは笑うと、二人に問い掛ける。
 その背中を手をぎゅっと握って見つめる小松に気付いたココが、小松と目線を合わせると安心させるように微笑んだ。
「小松君、怖いなら無理しないで? 今ならまだ引き返せる」
「……はい。でも、大丈夫、だと、思います」
「そうかい? 気分が悪くなったら、すぐに言うんだよ。そしたら、すぐに引き返そう」
 ココの言葉に頷いて、小松はぎゅっとココの手を握る。ココも微笑むと、小松の手を握り返して穴の中へと足を勧めていった。
「出発だ」
「おう」
 ココがトリコの肩を叩く。にやりと笑ったトリコに続き、ココ達は穴の奥深くへと足を進めていった。
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