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もー、今年?だか去年?かなあ。それくらい大分前からちまちまちまちまちまちまちまちまちまちま、ずーーーっと書いていた話だったんですが、全然終わらない十二国記パロ。
完成してからサイトにちまちまあげようと思っていたのですが、最近書く気力も失せちゃって続かないので日記に投入したら書く気も起きるかなあ、と。
途中がっつり書いた話がどこにも保存されてなくて途方に暮れて以来、触ってませんでしたけども!!
まあまず、話壮大すぎてまとまらないですよねー!!!!!

十二国記パロです。
※原作忠実パロではありません
※設定色々捏造中です。
苦手な方はご覧にならないようにして下さい。


でもただのココマ恋愛話になる予感。
原作沿いになるようなならないような。わりと色々捻じ曲げてます。
設定は微かに頭にあるものの、完結できる自信はありません。
打ち切りみたいになってもやっとするのがお嫌な方、パロディが嫌いな方はスルーして下さいませー!!
もしも奇跡的に完結できたらサイトにあげます。

興味がある方とか、見てやんよ!って方は続きよりどうぞ。

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 彼はただ、立ち尽くしていた。冷たい地面の上に、ただ、裸足で立ち尽くしていた。
 体よりも、心が寂しいと思うのはいつものことだ。いつもどこかぽっかりと、心の中に大きな穴が空いているような気がしてならない。
 これはぼくの勘違いだろうか。
 ちらちらと視界の端に映る灰色の雪を眺めながら、彼は白い吐息を吐きだした。目の前にある家は煌々と明るく輝いているのに、自分はそこには混ざれない。
『ほんに、この子は困った子だね』
『どうしてこんなに我儘に育ってしまったのか』
『根気があるのと強情なのとでは、話が違うんだよ』
 祖母は厳しい人だった。男が調理場に立つのをよしとしない、昔ながらの人だった。だから、これは自業自得なのだと言い聞かせる。

――だって、ぼくがいけないんだ。

 キッチンに立って、祖母の料理に少し手を加えてしまったのが事の発端だ。こうすればもっと美味しくなるのにと常日頃から思っていた彼は、祖母の手料理にほんの少しだけ、手を加えてしまった。
 晩御飯時に、やっぱり彼の思っていた通りにそれは美味しくなったと思う。でも、それは祖母の口には合わなかったようだった。だから、キッチンに勝手に入った罰と料理に手を加えた罰として、こうして雪の降る中、外に出されている。

――ぼくがいけないんだ。

 足元を見れば、そこは薄く白く染まっていた。爪先は赤く、既に感覚は痛いくらいだ。

――でも、ぼくが悪いから。

 せつない。でも、これも毎度のことだった。彼はいつも、自分がこの家にとってお荷物でしかないことを既に知っていた。この世界に、果たして彼の居場所はあるのか、ないのか。
 煌々と光る家の中で、恐らく母と祖母は言い争っているのだろう。僅かに聞こえてくる声は、決して楽しそうなそれではない。

――また、お母さん泣いちゃうなあ。

 それはとても嫌だった。毎回祖母に言い負かされては密かに泣いている母を、小さい頃から彼は何度も見てきた。きっと今日もそうなるのだろう。それは、とてもせつなくて、苦しかった。
 不意に、背後から風が吹いた。それは春の風のように、どこか温かい。きょろりと辺りを見回して、彼は驚きに瞳を見開く。生白い腕が、ゆらりゆらりと塀と家の隙間から覗いていた。
 怖いとは思わなかった。まるで誘われるように、それにふらふらと近付いていく。
 腕は彼が近寄っても、何かを探すようにまだ揺れていた。そこに人の入る隙間はない筈なのに。
「あなたはだれですか?」
 そう問うても、腕は何も答えてはくれなかった。ただ、その腕が一瞬ぴくりと止まったような気がしたのは確かだ。だから彼の声も聞こえている筈なのだけれど、その腕が彼に答えてくれる気配はない。
 好奇心に負けて恐る恐ると近付くと、避ける暇もない速さで腕を掴まれた。驚きに身を引こうとしても、その力に抗うことはもう出来そうにない。引かれるがままに、塀の中へと引き摺りこまれていった。
 ぶつかるっ! そう思って目をぎゅっと閉じたけれど、来ると思っていた衝撃は思いのほか柔らかいものだった。
「……タイキ」
 ふわり、と何かに包まれる感触。タイキとはなんだと思う間もなく、ぎゅうと何かに抱き締められた。手を伸ばせば、柔らかい体がそこにある。
 眩しさに目が慣れると、そこには女の人の体があった。下肢は人のそれではなく、豹のような体だった。明らかに人ではない生き物。けれど、何故か怖いものには思えなくて、僕は首を傾げる。
 そして、周りから沸き上がる歓声のような喜びの声。驚いて見渡すと、そこには沢山の女性がいた。不思議なことに、女性しかいない。そして、その誰もが笑顔でタイキと呼ばれた彼の顔を見つめている。
「黒麒とは……珍しいこと」
 その中の、一際存在感を放つ女性が瞳を細めながら彼の目の前まで歩み寄る。
 また聞き慣れない単語だ。と、彼は思った。コッキ? 国の旗のことだろうか。自分の体を見降ろしても、残念ながらただの寝間着だ。旗なんてどこにもない。
「……あの、何か、おかしいですか?」
「おかしくはないとも。めでたいことじゃ」
 目の前にいる女性が、僅かに笑みを浮かべながら首を振った。
――この人は、だれ?
 そう思いながら見つめていると、まるで心を見透かそうとするかのようにその女性の瞳が細められた。
「私は玉葉と申す。本当に、このような髪を見るのは久々だの」
 肩に添えられた白い手の先を辿り、背後に控えている下半身が豹の女性へと視線を送る。
 その人は柔らかい笑みを浮かべていて、まるで見守るように彼を見つめている。その視線は、どことなく彼に安堵を与えるような視線だった。
「……あちらで生まれたのであれば、あちらでの名前があるであろうが、こちらではタイキとお呼びする」
「タイキ? その名前はなんなんですか?」
「あなたの名前だ」
 優しく頭を撫でられながらそう言われて、地面の上に漢字らしき文字で書かれたそれを見る。
 地面には「泰麒」と書かれていた。それは、自然と彼の中に、雨のように染み渡っていく。
――そうか、ぼくはここでは泰麒というのか。
 妙に納得して頷くと、目の前の女性が柔らかく笑う。
「その後ろにいるのはメルクという。あなたのお世話を申し上げる。わからないことは、そのメルクに色々と聞かれるがよろしかろう」
 彼は後ろにいるメルクを見つめた。メルクと呼ばれた彼女は、不安そうな彼の心の中に気付いたのか、ゆっくりと微笑む。彼はその視線に頷いて、ゆっくりと女性にお辞儀をした。
「わかりました、ありがとうごさいました」
 女性はゆっくりと頷くとメルクと二、三言葉を交わしてから、去って行った。
 ここは一体どこなのだろう。雪のような花弁が空に舞うのをぼんやりと眺めながら、彼は夢を見ているのかと頬を抓ったけれど、ただ痛いだけだった。




白汕子がメルクさん。
泰麒は小松君。
捏造もはなはだしい感じで!(笑)
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