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塔の上のラプンツェルです。
ディズニーはどんな話にしたのかなーと思ったんですけど、なかなか素敵なお話でしたね!
気になってる方は是非見て欲しい作品です。
アリエッティはちょっと個人的に好きはなれませんでしたが、ラプンツェルは安心して見ていられました!
王道な感じでしたけどね…
そして、見てたらやっぱり書きたくなるものですよね。
ちょっと続きに書いてみようかな、と。
設定だけ拝借した全然違うお話になりそうですけど……!

言わずもがな、ザックラです。

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ラプンツェル


とある所に、大変栄えている王国がありました。その国を治めている国王と王妃は、とても民から慕われていましたが、子供には恵まれていませんでした。
二人は毎日神に祈りを捧げては、子供を授かれるようにと願っていました。そうして、ようやく授かった子供は、なんと双子の男女。国王は大変に喜び、王妃も涙を流しては愛しげに二人の子供を抱き締めていました。
二人の子供は順調に育ち、やがて庭を二人で駆け回っては遊んでいました。王宮の中に、子供たちの笑い声が溢れ、それがより一層、この国を活気づけているような気さえ王にはしていました。
王子の名をクラウド、王女の名前をエアリスと名付け、健やかに育つ様を国中の者が温かな眼差しで見守っていたのです。

しかし、幸せは長くは続きませんでした。王の耳に慌ただしく告げられたそれは、正しく王にとって青天の霹靂の知らせでありました。
子供たちの母親である王妃が、倒れたというのです。王は王妃の眠る寝室へ、急いで向かいました。勿論、二人の子供達も連れて。
二人の子供の顔も、この日ばかりは笑顔をその顔に浮かべることはありませんでした。国中のどんなに有名な医者であろうとも、王妃の病気を治すことはできませんでした。
その病気に効く薬草は、遠い国から取り寄せなければならなかった為です。それを手配していたのでは手遅れになると言うのが、医師の見解でした。急いで取りよせてはいるものの、時は一刻を争います。
王は思い悩む日が増え、日に日にやつれていってしまいました。それに合わせるように子供たちの表情も暗いものへと変わっていきます。
城中の、国中のものが王妃の快方を心から願っていましたが、誰もがそれは叶わないことなのかもしれないと、諦めかけていました。
二人の子供達は街を歩きながら、なんとなくそんな国の人達の様子を察していました。中には同情のような眼差しさえ向けられることもあります。
二人はそれが嫌で、いつの間にか街の外れの外れまで歩いてきてしまいました。
「エアリス、ここから先は行くなと言われている場所だよ」
「わかってるわよ、でも、帰り道、わかる?」
クラウドは首を横に振りました。二人して考えごとをしながら歩いてきてしまっていたので、帰る道がわからないのです。
宛てもなく歩く二人の前に、、小太りの男が姿を現したのはその時でした。
「ほ~ひ~! いいの、いいの~、将来有望な二人のお譲ちゃん? 何かお困りかの~?」
クラウドは男の子です。むっとして言い返そうとしたのを、姉であるエアリスが止めました。二人は双子です、半身でもある相手が何を言おうとしているのか、何を考えているかは手にとるようにわかってきた筈です。
ですが最近、クラウドには双子の姉である筈のエアリスの考えが、時々わからなくなる時がありました。けれども姉に逆らえないクラウドは渋々と口を閉じるしかありません。
首を傾げた男はそんな二人のやり取りをひと通り見ると、またいやらしい笑みを浮かべて二人に詰め寄ります。クラウドは眉間に皺を寄せて、エアリスを庇うように立ち塞がりました。
「ほ~ひ~、気の強いお譲ちゃん? 俺のオヨメさんになるつもりはないかの~?」
「あんたなんかに興味ないねっ!」
「ほひっ、そんなツレナイところがたまらんの~、おじさんイイコト知ってるから教えてあげようかの~? おじさんの持ってる土地にはの、何の病気も治せる薬草っていうのが生えてるんだがの~?」
「……なに?」
「クラウド、構っちゃだめよ!」
エアリスが慌ててクラウドの手を掴みましたが、クラウドは眉間の皺を深くするばかりです。何かがおかしいとエアリスが思うのと、男がにたりと笑みを浮かべるのは同時でした。
「欲しくないのかな? 万能薬にさえなる薬草が。お譲ちゃんたちは喉から手が出る程欲しいんじゃないのかの~?」
この男はクラウドが男だと知っている。エアリスはそう確信しました。もっとも、そんなことを言えば負けん気だけは強い弟がこの男の挑発を易々と受けてしまうのは目に見えていたので、エアリスは一言もそんなことは言いません。
「何が言いたい?」
「クラウドッ!」
「これさえあれば、お前達のお母さんは元気になるんだがの? 俺と取引しねえか、なあ?」
男の笑った顔に、子供達はぞくりと背筋を強張らせました。その顔はとても良いことをしてきた善人の、今までの街の人たちとは明らかに違っていたからです。
「ん~~? どうしたのかの? 俺もあんまり時間はないからの~、もう行くけどいいのかの~?」
「……取引の、条件は」
「ほひ~? どうしようかの、お譲ちゃん達と取引といってもの~、何も持って無さそうだしの~」
男はそこで、わざとらしく両手をぽんと打ち鳴らしました。
「俺のお嫁さんになるってのはどうだ、お譲ちゃん!」
「えっ…」
「駄目だ!」
エアリスの手を取り、男が言いました。すかさずクラウドが男の手を叩き落とします。
「ほひ~? それなら、取引はなしだの~? お母さん、死ぬかもしれんの~?」
何せとってもとっても重い病です。男は卑怯にも、そんなことを言い始めました。
エアリスは俯き、クラウドは唇を噛み締めて男を睨み据えます。男はまたいやらしく笑い、近くに控えていた従者に何かを告げると箱を持ってこさせました。
その中にある薬草は、クラウドにもエアリスにも見覚えがあったものです。母親を診ていた医者達がこぞってこれがなければ治せないと言っていた図鑑に載っていた薬草そのものだったからです。
「クラウド…!」
「……わかってる、でも…」
「私、大丈夫だよ。お母さんのためだもん、私」
「駄目だ! そんなの、母さんだって父さんだって望んでなんか…!」
エアリスの翡翠色の瞳が揺れました。二人には、もうどうすればいいのかわかりません。
「ほひ~? 美しい姉妹愛かの~? だけどおじさん、時間がないんだ、おじさんはお譲ちゃんのどちらかがお嫁さんに来てくれれば構わないよ?」
「………俺が行く」
「…クラウド!」
「本当にそれで母親が治るんだな?」
「ほひ~、薬草であることに間違いはない。医者にでも煎じて貰うんだの」
取引成立だ。男はそう言って笑い、クラウドに1枚の紙を渡しました。
誓約書 紙にはそう書かれていました。クラウドは息を呑み、男の言う通りにその紙面にサインをしてしまいました。男から代わりに薬草の入った箱を受け取ると、男の笑みがより一層深く、いやらしいものへと変貌していきます。
「お前が16になって、年頃になった時に向かいにいくからの」
クラウドの頬を撫で、男は意気揚々と自分の館へと戻っていくのでした。
正反対に、残された姉妹は顔を見合わせ、重い溜息を吐くことしかできませんでした。


とりあえずココマデー。
もはや全然展開の違うものになるのがよくおわかりになったと思われますけど
こんな感じで進んでいきます(笑)

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