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折角の七夕なので 小話とぷちイラスト


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「何をお願いするの?」
「美味しいものがいっぱい食べられますようにってお願いしたんです!」
ココさんは僕の答えを聞くと、その顔にふっと柔らかい笑みを浮かべた。
「ふふ、君らしいね」
「あっ、ちょっとばかにしてるでしょう?!」
その顔にむっと唇を尖らせれば、ココさんは益々笑みを深めるだけだ。やっぱり僕のことをからからっているに違いない。
「してないよ? 可愛いなって思っただけ」
「む、じゃあココさんはなんて書いたんですか?」
ほんの意趣返しだとばかりにココさんに問えば、ココさんははたとしたように笑みを潜め、そうしてまた、にっこりと微笑んだ。
「僕が望むのは一つだけだからね」
「……? なんて書いたんですか?」
「ふふ、見てみる?」
ココさんが、笹に掛けられた短冊の一つを指差した。
僕は訝しみながらも、ココさんの手から離れてその傍へと向かう。
綺麗な、のびのびとしたココさんの文字で書かれたその文字を読み上げて、僕は目を見開く。
「これって、」
「読んだ?」
背後から腕が伸びてきて、僕の体はココさんに包み込まれる。そのままぎゅっと腕に力が籠り、ココさんの額が僕の頭のてっぺんに乗せられた。
『小松君が幸せになりますように』
そんな言葉を綴られたそれに、僕はぎゅっと胸が切なくなった。
「……僕もお願いごと、変えることにします」
「……そうなの?」
「そのお願い事が叶わないと、ココさんのお願い事が叶わないので」
ココさんは訝しげに首を傾げる。僕は笑みを浮かべると、短冊を取り変えてまた文字を書き直した。
「へへ、こうしたらきっと、ココさんの願いごとも叶いますよ!」
僕は出来上がった短冊を掲げる。その文字を見たココさんの目が見開かれた後、とても温かくて、優しい笑みに変わったのは言うまでもなかった。
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