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「小松君」
その声に、僕はぴくりと体を震わせた。顔をあげると、ココさんが真っ直ぐ僕だけを見つめている。
ココさんの手が優しく僕の頬を撫でたかと思えば、次にはふっと、影が落ちた。
あぁ、やっぱり。
僕はそう思うと同時に、目を閉じる。唇にあたるふにりとした甘い感覚に、僕の唇は震えてしまった。
触れるだけのそれは、幾度も幾度も唇に降りてくる。
くすぐったくて、気持ちよくて、心が温かくなるような。 好きだという気持ちが、触れ合った所から溢れ出してしまいそうな、そんなキスだった。
唇が離れると、ココさんの指先が僕の唇を拭う。飽きることなく、ココさんは僕の顔中にキスをするように、頬に、額に、瞼に、色んな所にキスをしてきた。
「ふふ、くすぐったいですよ」
「そう?」
ココさんは小さく笑った僕に微笑むと、また僕の顔に口付けてくる。どうやら、やめるつもりはないようだ。
唇の横に口付けられて、鼻梁に、顎に、本当に色んな所に口付けてくる。
すり、とココさんの鼻先が僕の鼻と擦り合わされた。至近距離で覗き込んでくる瞳が、柔らかい色を湛えて僕を見つめている。
「ねえ、小松君」
ココさんが僕の耳元で囁く。そのいつもよりも少し低く、掠れたような声音に、僕はぴくりと体を震わせた。ココさんの声に、密かな予感がした。
「……っ、ん!」
耳を弄られて、耳たぶを甘く噛まれれば、僕の予想は確信に変わっていく。ココさんは僕の耳に吐息を吹き掛けながら、震えた背筋に手を這わす。
「我慢できない」
「……んんっ、ふ、あ!」
するりとココさんの指先が僕の衣服の中に潜り込んだ。僕は黙って手を伸ばし、ココさんの首に腕を絡めた。
我慢出来ないのが、ココさんだけなわけがない。
僕はココさんの顔を引き寄せると、その鼻梁にキスを落とす。
それが僕らの、始まりの合図だった。
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